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[03心-ポ-32]ダーツパフォーマンスにおける感情表出抑制の効果についての予備的検証
*Eriko Aiba1, Kojiro Matsuda2, Yosuke Tezuka3, Yoshio Sugiyama4 (1. Yokohama National University, 2. Josai University, 3. Osaka University of Sport and Health Sciences, 4. Kyushu University)
スポーツ競技者にとって,競技中の感情をいかに制御するかといった課題は,パフォーマンスを発揮する上で極めて重要な課題の一つである。これまで,競技スポーツにおける感情制御の研究は,どのような感情制御が,競技者自身の心理的側面に変化をもたらすのか,といった視点から研究が行われてきた。一方で,本研究では,感情制御によって他者の心理的側面に副次的に及ぼされる効果に焦点を当てた。また,感情制御方略の中でも,競技場面で頻繁に見られる感情表出の抑制 (表出抑制) に着目した。そこで本研究は,感情表出の抑制が,対戦相手の心理的側面に及ぼす影響を,予備的実験によって検証することを目的とした。スポーツ心理学領域の実験研究で多く用いられるパフォーマンス課題である,ダーツ課題を用いて,表出抑制条件と統制条件の2つの条件を設定した。被験者は,大学生10名であった。2条件において実験協力者1名に表出抑制を実施してもらい,被験者1名とダーツの得点を競ってもらい,1名あたり20試行ずつの2ゲーム (全40試行) とした。この際,Schweizer et al. (2020) の実験方法に倣い,被験者にはブルを狙うよう教示し,また,的の中心からの距離をパフォーマンス得点とした。また,心理指標として,感情状態を測るために,心理尺度POMS-2を援用し,さらに対戦相手 (研究協力者) に対する印象について,聞き取り調査を実施した。加えて,生理指標として,心拍数,血圧を測定した。なお,被験者と実験協力者は,面識がないことを確認した上で実施された。結果として,個人が表出抑制を行うことで,対戦相手が受ける印象が変化することが確認され,部分的ではあるが表出抑制の有効性を確認することができた。今後の本実験につながる示唆が得られた。
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