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[03心-ポ-51]なぜ女性アスリートは月経随伴症状に対処しないのか?対処を行わない理由に焦点をあてた実態調査

*Yukiho Yamamoto1, Rei Amemiya2 (1. Graduate School of Comprehensive Human Sciences, University of Tsukuba, 2. University of Tsukuba)
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女性アスリートが健康を維持しながら競技能力を発揮するためには、各自に効果的な、月経やそれに伴って生じる月経随伴症状への対策が必要となる。しかしながら先行研究において、上記のような症状を抱えていても、対処を行わない女性アスリートも一定数存在することが指摘されている(伊藤・北村、2023;Felipe、2021)。本研究では、女性アスリートが抱える月経随伴症状や、それに伴って行う対処行動ならびに、対処を行わない理由について、探索的に調査を行うことを目的とした。
本研究では、女性アスリート6名(平均年齢=21.2歳、SD±1.21)を対象とし、半構造化インタビューを実施した。質問項目は主に、1)月経に関連する症状、2)月経が競技パフォーマンスに与える影響および、3)月経に対する対処や対策・行動ならびに、対処を行わない理由に関して問う内容であった。
インタビュー調査の結果、月経に関連する症状として身体症状(下腹部痛など)や心理症状(憂鬱・悲しくなるなど)が報告された。また食事関連の症状(食欲旺盛など)や、競技場面と関連する症状(集中力の低下など)についての回答も認められた。さらに、上記のような症状への対処行動としては、一般的な対処行動(鎮痛剤の服用や腹部を温めるなど)に加えて、「トレーニングや練習の量や強度を調整する」や「力の入り具合を確認する」といった、アスリート特有の対処行動が報告された。さらに、対処を行わない理由として、「生理で休むのは恥ずかしい」や「競技力低下への恐れ」といった回答が得られ、ピルの服用も、「副作用への不安」や「薬への嫌悪」といった理由から実施に至らないことが明らかになった。さらに、行われている対処の多くは身体症状に着目したものであり、心理症状への対処はほとんど行われていないことも示唆された。

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