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[03心-ポ-59]状況判断能力による女子ラグビー選手の視線行動の違いオフザボールの局面に着目して

*Miho Hitora1, Hideaki Takai2, Touma Fukami1, Toru Yonechi2 (1. Graduate School of Nippon Sport Science University, 2. Nippon Sport Science Univ.)
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状況判断の過程を概念化した中川(2000)のモデルでは、最初に外的ゲーム状況に対する選択的注意が求められる。選択的注意には視線行動が含まれており、状況判断能力の評価によって視線行動は異なることが報告されている(麓、1995)。ラグビーでは、ボールを保持しないオフザボールの局面でプレーをする時間が長くなるため、オフザボールの局面に視線行動の違いが顕著に現れるものと予想される。そこで、本研究においては女子ラグビー選手を対象とし、状況判断能力がオフザボールの局面の視線行動に及ぼす影響について検討することを目的とした。実験参加者は、大学生以上の女子ラグビー選手35名(22.9±3.2歳)であり、状況判断テストの正答率で2群に分け、両群を比較した。実験参加者には、ボタン押しによる状況判断テストを行わせ、その後はラグビーの試合場面の一部を、司令塔を担うポジションから再現した6種類の映像をVR環境下で観察させた。ラグビーの専門家3名により6種類の映像から裏に立っているDFの特徴をもとに4種類の映像を選出し、オフザボールの局面を分析範囲とした。分析項目としては注視回数および1回注視あたりの注視時間を算出した。群を独立変数、視線行動を従属変数として注視回数は独立2群のt検定を、1回注視あたりの注視時間はウェルチの検定を行った。その結果、状況判断テストの正答率が高い群は低い群よりも注視回数が有意に多かった(p<.05)。サッカーやラグビーを対象とした先行研究では、状況判断能力の評価が高い選手や特定のポジションの選手において1回注視あたりの注視時間が減少し、注視回数が増えることが明らかにされている。本研究の結果は、前述の先行研究の結果を一部支持することとなった。これは、短い時間の中で正確な判断を行うため、より多くの情報を収集しようとする熟練者の特徴が注視回数に反映されたものと推察される。

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