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[03心-ポ-64]香りが視空間性ワーキングメモリ課題のパフォーマンスに及ぼす影響
*Mikoto Mishima1, Hiroki Nakamoto1, Hironori Shimizu2 (1. National Institute of Fitness and Sports in Kanoya, 2. mandom corp.)
バレーボールなど大規模空間の中で行われるスポーツでは,味方・相手やボールの位置といった複数の情報を注視位置を切り替えながら収集し,それらの離散的な収集情報を統合して最適な意思決定を行う必要がある.このような視覚情報の保持と処理には視空間性ワーキングメモリ(VWM)と呼ばれる記憶機能が関与し,意思決定スキルと正の関連があることが報告されている.よって,VWMの機能を高める方法の解明はパフォーマンス向上に有益と思われる.これに対し,いくつかの研究では香りが認知機能に有効であると報告されている.そこで本研究は,香りがVWMに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.10名の大学生競技者を対象に,VWMを評価するN-back課題を行わせた.この課題は,3×3のマス目のいずれか1か所がランダムな順序で連続的に点灯する中で,これらの位置を記憶しながら,n回前(back条件)と現在の刺激位置が同じか判断する課題である.back条件は,2,3,4backの3条件とした.また,これらを6つの香り条件で行わせた.4条件は香り吸引条件として,スペアミント(SM),ペパーミント(PM),ローズマリー(RM),ラベンダー(LV)を課題開始前に嗅がせた.残り2条件は,香り吸引なし条件として,吸引動作は行うブランク条件と吸引動作も行わない通常条件を設定した.課題終了後,香りの嗜好性を3段階(好き・普通・嫌い)で回答させた.その結果,通常条件に比べRM条件で正答率が有意に高かった.また,通常,ブランク,SM,PM条件に比べ,RM条件で反応時間が有意に短かった.一方,RMを「好き」と回答した者は他の条件より少なかった.これらは,RMが嗜好性に関わらずVWMを高める香りであることを示唆する.よって,特定の香りは大規模空間の中で複数の離散的な情報を収集し意思決定するスポーツのパフォーマンスを高める可能性がある.
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