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[03心-ポ-68]優れた陸上長距離指導者はどのような信念をもとに選手を指導しているのか大学女子陸上長距離指導者の事例から

*Takahiro Nagayama1 (1. Ishinomaki Senshu University)
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本研究は,陸上長距離の指導者が個人の成長とチームとしての結果をいかにして両立させているのか,指導者の認識的信念から検討したものである。調査は,指導歴が10年以上で継続的にチームを駅伝全国大会に出場させ,指導する選手の多くが自己記録を更新している大学女子陸上競技部の指導者1名を対象に,予め基幹的な質問項目を用意した半構造的インタビューにより実施した。インタビューに要した時間は,約2時間であった。データ分析は,まずテクスト化した発話データを意味のまとまりによってセグメント化し,各発話セグメントに小見出しをつけるコーディングを行った。次に,各発話セグメントを意味の類似性からグループ化し,カテゴリーを作成した。分析の結果,優れた陸上長距離指導者の認識的信念を説明するカテゴリーとして,「自律性喚起」,「応答的な関係構築」,及び「個の成長を通したチームへの価値づけ」が形成された。本研究の対象者は,選手の成長は指導者によって与えられるものではなく,選手自身が目標達成に向けて探索的な努力を行うことで達成されるものであり,練習内容は絶対的な正解があるのではなく,選手の状態に応じて調整するべきであるという認識的信念を有していた。そのため,選手自身が日々の練習や生活の中で探索的な努力ができるように,競技を続ける意味を問いかけたり,選択権を選手に委ねたりするなどして自律性を喚起していた。また,選手の状態に応じて練習内容を検討することができるように,選手との心理的距離を近づけ,応答的な関係を構築することを心掛けていた。選手個人の成長が促進される環境を用意することを通して,個々の選手のチームへの価値づけを高めることを意識していた。こうした取り組みにより,チームの凝集性を高めることで,駅伝に出場する際には,選手一人ひとりがチームにおける役割を認識してチームの目標達成に向けて努力するように促していた。

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