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[09方-ポ-24]女子走幅跳競技者における心拍変動を用いたコンディション評価
*Akiko Ito1, Kiyonobu Kigoshi2 (1. University of Tsukuba Graduate School of Comprehensive Human Science, 2. University of Tsukuba)
負荷とそれに対する十分な休養がトレーニングの両輪であり、競技者は、適切な負荷と休養のバランスを常に保つためにそれらを把握し、コントロールする必要がある。心拍変動は、非侵襲的に自律神経機能の回復状況やトレーニングへの適応状況を評価できることから、主に持久系種目の競技者に活用されている。しかし、陸上競技の短距離、跳躍、および投擲競技のような爆発的なパワー発揮が重要な種目(以下、瞬発系種目)の競技者を対象とした研究はほとんど見当たらない。そこで本研究では、走幅跳を専門とする競技者を対象に心拍変動を用いてコンディションを評価することを目的とした。対象者は日本人の女子走幅跳競技者1名とした。起床時の心拍変動、およびSession RPE法を用いて定量したトレーニング負荷を58週間モニタリングし、起床時心拍変動の変化とコンディションとの関係を検討した。測定期間中、対象者は大きくコンディションが悪化したことが原因で、目標としていた試合への出場が困難となった。試合期へのシーズンインからコンディションの悪化でトレーニングを長期間中断するに至るまでの12週間で、副交感神経活性度を表す心拍変動の指標であるLn rMSSDの継続的な低下が見られた。この結果から、対象者の急激なコンディション悪化の前兆を心拍変動が捉えていたと考えられ、瞬発系種目の競技者においても心拍変動の変化を長期的に見ながらトレーニングや試合計画を調整していくことが、コンディションの維持に役立つのではないかと考えられる。今後、瞬発系種目の競技者を対象に事例を蓄積し、それぞれの種目特性に考慮した心拍変動の活用方法を検討していくことが求められる。
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