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[競技スポーツ-SA-2]Athlete-centered coaching

*Masamitsu Ito1 (1. Nippon Sport Science University)
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<演者略歴>
日本体育大学教授。博士(学術)。コーチング学を専門とし、国内外でコーチの成長支援に取り組んでいる。NSSU Coach Developer Academy(NCDA)のディレクターとして、国際的なコーチデベロッパー養成にも力を注ぎ、さまざまな側面からコーチの学びと実践を支える活動を行っている。
アスリートセンタード・コーチング――それは何を意味するのか。アスリートファーストとは何が違うのか。なぜ、今この概念が改めて問われているのか。そして、それはスポーツ指導者に何をもたらすのか。これらの問いを起点に、シンポジウムでは皆さんと共に考えていきたい。
 セリグマンは、持続的幸福の構成要素として、肯定的感情、深い関与、意味や意義、達成、関係性を挙げている。スポーツ指導者が「有能感への欲求」を抱いているのは自然なことであり、「自分が勝ちたい」と思うこともまた、人として当然の感情だ。采配や指揮が求められる競技では、指導者同士が明確に勝負の一部を担っており、そこでの判断や戦略が競技結果を左右する。
 加えて、指導者にとって「自律感の欲求がどのように充足されているか」も重要な視点である。アスリートのニーズに応えることが、指導者自身の意思による選択であれば、自らの価値を実感しうるだろう。しかし、義務感や周囲の期待に応じるだけの行為であれば、自律性はむしろ脅かされる可能性がある。
 アスリートを“ファースト”にすることで本当によいのか。アスリートセンタード・コーチングをより豊かに発展させていくために、本シンポジウムでは、あえて挑戦的な問いを投げかけてみたい。

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