Session Details
【オンデマンドシンポジウム2】疫学研究から考える災害後の自殺対策のグッド・プラクティスとは?
座長:前田 正治(福島県精神保健福祉センター)
大類 真嗣(東北大学災害科学国際研究所災害公衆衛生学分野)
大類 真嗣(東北大学災害科学国際研究所災害公衆衛生学分野)
東日本大震災後、被災住民を対象としたメンタルヘルスに関する疫学研究が進められ、多くの成果が得られている。しかし、これらの知見が被災地でのこころのケア活動にどのように活用され、住民にどのような影響を与えたかについては、十分な評価がなされていない。また、東日本大震災以降、被災地では被災した住民の個別相談・支援をはじめ、ゲートキーパー養成や健康調査の実施、その結果を踏まえたハイリスクアプローチによる自殺対策など、さまざまなこころのケア活動が展開された。しかし、これらの取り組みが被災地域の自殺死亡率の上昇抑制にどのように影響したかについては、座長が取り組んだレビュー研究においてでも、その報告数が非常に限られていることを確認している。さらには、東日本大震災後の被災住民を対象とした自殺死亡のリスク探索については、研究実行性の困難さから、報告はほとんどなされていない状況である。
東日本大震災後には、東北メディカル・メガバンク計画(岩手・宮城)や県民健康調査(福島)など、大規模コホート調査が10 年以上継続して進められており、災害関連項目も多数取り入れられている。これにより、災害後の被災者の健康支援やメンタルヘルス支援に資する成果を得ることが可能となっている。特に、ケース数が少ない「災害後の自殺死亡」については、大規模コホート調査でなければリスク要因の検討が困難であったが、上記のコホート調査では、十分な対象者数や追跡期間の長さから、その点についても検討可能となっている。
本シンポジウムでは、災害後に開始された上記の大規模コホート調査を中心に、疫学研究から得られた知見をもとに、「孤立」「家族死亡の喪失体験」「メンタルヘルススクリーニングの自殺予防としての精度」といった疫学研究の知見や、「アウトリーチ支援」「アルコール問題」といった実践的な活動を切り口として、「災害後の自殺を含めた死亡」との関連について、それぞれのシンポジストが取り組んだ研究成果や支援活動から見えてきた点などを報告する。そして、これらの疫学研究や実践活動の成果を踏まえ「災害後の自殺対策のグッド・プラクティスとは何か」を議論する。
このシンポジウムを通じて、能登半島地震をはじめ、現在進行形および将来の災害後のこころのケア活動に活かすことを目指す。
東日本大震災後には、東北メディカル・メガバンク計画(岩手・宮城)や県民健康調査(福島)など、大規模コホート調査が10 年以上継続して進められており、災害関連項目も多数取り入れられている。これにより、災害後の被災者の健康支援やメンタルヘルス支援に資する成果を得ることが可能となっている。特に、ケース数が少ない「災害後の自殺死亡」については、大規模コホート調査でなければリスク要因の検討が困難であったが、上記のコホート調査では、十分な対象者数や追跡期間の長さから、その点についても検討可能となっている。
本シンポジウムでは、災害後に開始された上記の大規模コホート調査を中心に、疫学研究から得られた知見をもとに、「孤立」「家族死亡の喪失体験」「メンタルヘルススクリーニングの自殺予防としての精度」といった疫学研究の知見や、「アウトリーチ支援」「アルコール問題」といった実践的な活動を切り口として、「災害後の自殺を含めた死亡」との関連について、それぞれのシンポジストが取り組んだ研究成果や支援活動から見えてきた点などを報告する。そして、これらの疫学研究や実践活動の成果を踏まえ「災害後の自殺対策のグッド・プラクティスとは何か」を議論する。
このシンポジウムを通じて、能登半島地震をはじめ、現在進行形および将来の災害後のこころのケア活動に活かすことを目指す。
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[オンデマンドシンポジウム2-1]「孤立」とうつ病症状との関連から見た被災地での「孤立」の対策
*Yuka Kotozaki1,2 (1. Department of Hygiene and Preventive Medicine, School of Medicine, Iwate Medical University, 2. Division of Clinical Research and Epidemiology, Iwate Tohoku Medical Megabank Organization, Iwate Medical University)
[オンデマンドシンポジウム2-2]Suicide Incidence and Associated Factors Among Residents in Nuclear Accident Evacuation Zones: the Fukushima Health Management Survey
*YOSHITAKE TAKEBAYASHI1,2, Naoko Horikoshi2, Masaharu Maeda2,3,4, Itaru Miura2,5, Tetsuya Ohira2,6, Seiji Yasumura2 (1. Department of Health Risk Communication, Fukushima Medical University School of Medicine, 2. Radiation Medical Science Center for the Fukushima Health Management Survey, 3. Fukushima Center for Disaster Mental Health, 4. Fukushima Mental Health Welfare Centre, 5. Department of Neuropychiatry, Fukushima Medical University School of Medicine, 6. Department of Epidemiology, Fukushima Medical University School of Medicine)
[オンデマンドシンポジウム2-3]Suicide Risk Among Affected Residents following the Great East Japan Earthquake and the Impact of Outreach from the Perspective of Suicide Mortality
*Masatsugu ORUI1,2 (1. Disaster Public Health Lab., International Institute of Disaster Science, Tohoku University, 2. Tohoku Medical Megabank Organization)
[オンデマンドシンポジウム2-4]Suicide prevention for affected people of the 2011 Fukushima disaster: Population-based approach focusing on alcohol problems
*Masaharu Maeda1,2, Takahiro Fukuda3, Manami Ohtsuki2, Yu Aso2, Ikuko Watabe2 (1. Fukushima Prefectural Mental Health and Welfare Center, 2. Fukushima Center for Disaster Mental Health, 3. Akiyama Hospital)
