特別セッションのご案内

2024年6月22日(土) 15:00~16:30 
A会場(リバティーホール・1階)
 

「現場発デジタルイノベーション」

(特別講演・講演者)
 茨木 康充 氏(ヤマハ発動機株式会社)
 新宅純二郎  (明治大学)

司会:歌代豊(明治大学)

 

※本セッションは、以下の講演と対談の2部構成で進行いたします。

 

 特別講演(60分) 

主役は“人”: デジタルツールは

新価値創造プロセスにおける触媒である

製造現場のDXは現場サイエンティストの育成が鍵
茨木 康充 氏(ヤマハ発動機株式会社)  
 
 講演概要 

DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を聞かない日が無いほど世の中に浸透してから5年以上が経過した。しかしながら、デジタルソリューションの広告・営業頻度以上に、「成果が出た!」という声を様々な“現場”から直接聞こえてこないのは何故だろうか。

 日本のものづくり現場は、経験則に基づく暗黙知がベースとなり知識共有が難しく、昨今ベテランの定年退職により技能伝承が難しくなっている。製造現場における様々な因果仮説は、暗黙知のままで定量的に言語化できない状況にあった。しかし多くの現場では、デジタルツールの導入をこの制約解消を目的にデザインせず、単に導入すれば自発的に現場組織が活性化するという思い込みがあり、それがDXが成果につながらない原因ではないだろうか?

我々は、経験則から暗黙知として持つ因果仮説を、現場自らがデジタルを使って定量化しアクションすることで、従来の現場マネジメントを変える取り組みを2019年からバリューイノベーションファクトリーという名称で取り組んできた。

現場経験とデジタル手法を合わせ持つ「現場サイエンティスト」の成果詳細をお聴き頂きたい。当日は、現場サイエンティストのひとりである熊田知也氏にも登壇してもらう予定である。

尚、この取り組みの背景には野中先生(一橋大学名誉教授)が提唱されたSECIプロセスが存在していることにも触れご報告させて頂く。

 講演資料ダウンロード(PDFファイル・大会共通パスワード設定あり) 


  対談 (30分) 

 

「現場発デジタルイノベーション」

茨木 康充(ヤマハ発動機株式会社)・新宅 純二郎(明治大学)

 

DXを推進していくうえで、AIなどを含めたデジタル技術やツールを現場に適用していくことは重要である。製造、販売、サービスなどの現場でそういったツールをどのように活用すればイノベーションにつながっていくかは、多くの業界で重要な経営課題になっている。その際、優れた現場の優れた人材によって構築されてきた現場知識とデジタルツールをどのように結合していくかが、成功の鍵になるのではないか。我々はそういった活動を「現場発デジタルイノベーション」、また、それを実行する人材を「現場サイエンティスト」と呼んでいる。

 本対談では、現場発サイエンティストの育成などについて議論していきたい。

 

 講師・プロフィール 

 茨木 康充 氏

1999年 慶應義塾大学理工学部 修士課程卒業後、同年 4月 ヤマハ発動機入社。海外生産企画・溶接製造技術業務に携わる。2004年 一橋大学 国際企業戦略科にてMBA取得、2007年から6年間のインド駐在を経て、2013年 国内エンジン鉄部品工場で生産課長として現場マネジメント、2016年 全社SCMを統括する部門で二輪車のSCMプロセス改革に取り組む。2018年製造DXを推進する部門に異動し、2019年設備技術部長としてヤマハ発動機独自DXコンセプト “人が主役のValue Innovation Factory” を掲げ実現に向けて取り組み、2024年1月より 生産技術本部長

 
 講師・プロフィール 
 
■  新宅 純二郎

東京大学大学院経済学研究科教授・経営教育研究センター長を経て、2024年4月より明治大学経営学部特任教授。組織学会元会長、国際ビジネス研究学会会長。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。研究分野は、経営戦略、国際経営。

<主な著書>『日本企業の競争戦略』(有斐閣)、『経営戦略入門』(共著、日本経済新聞出版社)、『ものづくりの国際経営戦略』『新興国市場戦略論』(共編著、いずれも有斐閣)、『コンセンサス標準戦略』(共編著、日本経済新聞出版社)、『ケースに学ぶ国際経営』(共編著、有斐閣)、『日本のものづくりの底力』(共編著、東洋経済新報社)、『ものづくりの反撃』(共編著、筑摩書房)他。