講演情報
[1C01]DNA損傷の修復を考慮した放射線生物学での新規数理モデルに関する研究
*中島 和也1、松尾 陽一郎1、清水 喜久雄2、泉 佳伸2 (1. 福井大学大学院、2. 福井大学附属国際原子力工学研究所)
キーワード:
数理モデル、放射線生物学、DNA損傷の修復
低線量及び低線量率の応答(放射線超感受性)や線量率効果を表現するために,放射線照射に伴う細胞応答と反応速度論的思考の組み合わせによるDNA損傷の修復を考慮した生存率を表す数理モデル(r model及びr’ model)を構築した. DNA損傷の効率に関する係数α (/Gy)とDNA損傷の修復に関する反応速度定数r (/min)は,出芽酵母のRAD+株及びrad52株に軟X線を照射した際の生存率から決定した.また,修復の効果r’の境界値であるT(min)と初期値は,RAD+株に軟X線を照射した際の修復遺伝子RAD54の発現量解析の結果から決定した.出芽酵母のRAD+株およびrad52株に軟X線を照射した際の生存率に対して,r modelを用いて最小二乗法でフィッティングした結果,rad52株がRAD+株と比較して修復の効果rが低下したことが示された.また,発現量解析に基づきT=60min,初期値= 1.4と定めた場合,RAD+株の生存率に対する決定係数R2は,r model:R2=0.88,r’ model:R2=0.92 を示し,r’ modelの方が生存率に対して精度が良いことが示された.
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