講演情報

[1C09]広島市で採取された熔融粒子が原爆由来か判断可能な手法の開発検討

*名郷根 慧1、石井 陽介1、松村 珠希1、森田 真人1、坂本 哲夫1、遠藤 暁2、五十嵐 康人3 (1. 工学院大、2. 広島大、3. 京大)

キーワード:

原子爆弾、表面分析、質量分析、熔融粒子

「黒い雨」の領域推定は、長年にわたって議論されている課題である。そのために放射性核種の計測が盛んに行われてきたが、その他に別の分析対象を元に領域推定の根拠にならないか、検討されている。それが2019年にWannierらによって広島市の砂から発見された、熔融粒子と呼ばれる微小な粒子群である。これらの粒子はその形状や内部及び、断面の特徴から高温熔融過程を経ていることや、広島市の海岸から大量に見つかったことにより、「黒い雨」の一部である可能性が示唆されてきた。しかしながら粒子単体の分析では放射性同位元素が検出できないため、原爆由来であるとの同定が困難である。そこで我々は当時の爆発のプロセスや土壌成分、粒子の特徴に加えて、中性子捕獲反応による同位体比異常の可能性について検討した。この同位体比異常はSNMS/FIB-TOF-SIMSによる測定で検出可能なことから、熔融粒子が原爆由来か否かを判断するデータを提供できることを示す。

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