講演情報
[2C11]福島における放射性物質分布調査(6) 福島第一原子力発電所から海洋へのセシウム放出源の解析
*恩田 裕一1、佐藤 ひかる1、津旨 大輔1、木幡 勝彦2、岡村 知巳2 (1. 筑波大学 放射線・アイソトープ地球システム研究センター、2. 東京電力ホールディングス)
キーワード:
放射性セシウム、福島第一原子力発電所、トリチウム
放射性核種の放出を最小限に抑えることは、事故後の原子力発電所の廃止措置および生態系の回復において極めて重要である。福島第一原子力発電所では、海側に設置された遮水壁にもかかわらず、セシウム137(137Cs)が季節変動を伴って海に漏出し続けている。しかし、これらの変動の原因および要因は十分に解明されていない。本研究では、陸から海への137Cs移動の主要経路であるK排水路を調査した。トリチウム(3H)利用した流域水文トレーサー法を用いて、基底流と全排水量を区別した。また、有効降雨法を適用し、排水路への寄与源の排出量および137Cs濃度を特定した。調査結果は、137Csの主要な供給源が原子炉建屋の屋根であり、高い残留濃度が排水路の流量に大きく影響していることを示している。季節変動は、基底流中の137Csに対する温度の影響および降雨による表面流出と構造的流入の急増と関連している。本研究は、3Hを使用したトレーサー水文アプローチの有用性を強調し、原子力施設や旧核サイト、の持続可能な修復に新たな洞察を提供するものである。
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