第55回中部化学関係学協会支部連合秋季大会

特別討論会

特別討論会について

◎特別討論会の講演分野

B-1) 持続可能な有機化学の探求(有機合成化学協会)
B-2) カーボンニュートラルに貢献する電気化学(電気化学会)
B-3) 分析化学の応用・展開(分析化学会)
B-4) 環境にも優しいソフトマテリアル研究の最前線(高分子学会) 
B-5)接着・粘着,ゴム・エラストマー,繊維における研究開発の動向(接着学会・ゴム協会・繊維学会)
B-6)界面活性剤と油のあやなす未来技術(油化学会)
B-7)階層性が生み出す色材(色材協会) 
B-8)次世代ハイブリッド表面技術によるカーボンニュートラル社会への貢献(表面技術協会)
B-9)オプトバイオテクノロジー研究の最先端
B-10)日本化学会東海支部奨励賞受賞講演 

 

B-1 持続可能な有機化学の探求(有機合成化学協会)

支部長 柴田 哲男(名古屋工業大学), 担当者 住井 裕司(名古屋工業大学)

主旨:私たちの未来を形作るために,国際社会は2030年までに達成すべき重要な目標である持続可能な開発目標(SDGs)に取り組んでいます。この中で,有機化学は解決策を提供する鍵となる分野として位置付けられています。本特別討論会は「持続可能な有機化学の探求」と題し,有機化学の最前線で活躍する研究者を招聘し,彼らの最新の研究成果を共有することを目指しています。この討論会では,有機化学がSDGsの達成にどのように貢献できるかを探求し,持続可能な未来への道筋を描くための知識と発想の創出を期待しています。

招待講演

(1)野崎 京子(東京大学 大学院工学系研究科)
  「樹脂分解のための触媒開発」
(2)丹羽  節(九州大学 大学院薬学研究院)
  「複雑分子の精密改変による機能性分子の開発」

依頼講演

(1)八谷  巌(三重大学 大学院工学研究科) 
  「ドミノ反応を活用した含窒素ヘテロ環合成法の開発」
(2)滝田  良(静岡県立大学 薬学部)
  「元素・結合・反応場合の特性を活用する反応と分子の設計」
(3)椴山 儀恵(分子科学研究所)  
  「ハロゲンによる元素置換戦略:新たな機能性有機分子の創成をめざして」
(4)八木 亜樹子(名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所)
  「未踏炭素骨格の構築法開発と機能開拓」

※一般講演の有無: 有(講演時間20 分(発表15 分,討論5分))
学生または満40才未満の若手の技術者の中で,希望者は有機合成化学協会東海支部によるVIP賞の表彰対象者となります。なお口頭発表者は有機合成化学協会の会員である必要があります。

VIP賞(特別討論会)・優秀賞(一般発表)

 

B-2 カーボンニュートラルに貢献する電気化学(電気化学会)

支部長 市野 良一(名古屋大学 大学院工学研究科), 担当者 川崎 晋司(名古屋工業大学)

主旨:温室効果ガスをトータルとして排出ゼロにするカーボンニュートラルを2050年までに実現すると日本政府は宣言した。カーボンニュートラルを実現するのは容易なことではなく、さまざまな角度からの研究開発が必要である。とりわけ電気化学を基盤とする技術革新が重要である。化石燃料に依存しない電気エネルギー創造技術、効率的な電気エネルギー貯蔵技術など二酸化炭素を排出しないエネルギー技術だけでなく、大気中の二酸化炭素を分解固定する技術などもカーボンニュートラル実現に必要である。本特別討論会は太陽電池、燃料電池、二次電池などに加えて水素生成や二酸化炭素還元に関わる光触媒などのカーボンニュートラルに貢献する電気化学分野の最先端で活躍する講師の基調講演と一般講演から構成され、今後の課題・展望について討論を行うものである。

招待講演

(1)中村 崇司(名古屋大学 未来材料・システム研究所)
  「欠陥制御に基づくエネルギー材料開発の取り組み」
(2)岩瀬 和至(東北大学 多元物質科学研究所)
  「二酸化炭素電解還元の選択性制御を目指した触媒の開発」

依頼講演

(1)萬関 一広(岐阜大学 大学院工学研究科)
  「金属オキソクラスターの反応制御に基づく太陽光エネルギー変換用酸化物薄膜材料の開拓」
(2)本林 健太(名古屋工業大学)
  「イオン液体/電極界面の構造に依存した電気化学反応過程のin situ観測」
(3)谷端 直人(名古屋工業大学)
  「レドックス準位チューニングによる高エネルギー密度塩化物電極の開発」

※一般講演の有無: 有

 

B-3 分析化学の応用・展開(分析化学会)

支部長 倉光 英樹(富山大学 大学院理工学研究科), 担当者 北川 慎也(名古屋工業大学)

主旨:分析化学は、現代社会において欠くことができない基盤技術の一つであり、様々な学問分野・産業分野で重要な役割を果たしています。分析化学は様々な分野で必要な情報を得る手段として応用・展開されていますが、逆に他分野の技術を分析化学の分野に応用・展開することも頻繁に行われています。本特別討論会は、分析化学の最新の応用・展開例のみならず、他分野の技術の分析手法への応用・展開について、この分野でご活躍の先生方による講演と議論を通じて探求し、分析化学のさらなる発展に向けた新たな方法論を模索することを目的としています。

招待講演

(1)石田 康行(中部大学 応用生物学部)
  「温和な反応熱分解場の構築と細菌産生型コポリエステルの連鎖分布解析への応用」
(2)倉光 英樹(富山大学 大学院理工学研究科)
  「光ファイバーを利用したセンサー開発と環境科学への応用」

依頼講演

(1)植松 宏平(福井県立大学 生物資源学部)
  「フルオラス溶媒を用いた液|液界面電気分析法の応用展開」
(2)坂江 広基(金沢大学 理工学域)
  「薬剤キャリアの探索と膜透過機構の研究」
(3)勝又 英之(三重大学 大学院工学研究科)
  「酵素模倣体の合成とそれを用いた生体試料中のグルコースの定量」
(4)松宮 弘明(名古屋大学 大学院工学研究科)
  「金属粒子複合アドミセルを用いる有機塩素化合物の水中からの分離と還元的脱塩素分解」

※一般講演の有無: なし

 

B-4 環境にも優しいソフトマテリアル研究の最前線(高分子学会)

支部長 上垣外 正己(名古屋大学 大学院工学研究科), 担当者 高須 昭則(名古屋工業大学)

主旨:プラスチックスの誕生以来、我々の生活を支え続けてきたソフトマテリアルであるが、昨今ではそれらが原因と考えられる環境汚染が数多く報告されるようになってきた。日本の高度成長と同時に進化してきた高分子化学は、より高い材料機能や表面特性を追求すると同時にこうした問題解決にも不可欠な学術・技術分野である。本特別討論会では、高分子化学の最新動向や課題、そして未来展望について、本分野でご活躍の先生方による講演と議論を通じて情報発信します。本特別討論会を通じて、研究および技術者の積極的な交流を促し、融合技術の創発に向けた新たなアプローチを模索するプラットホームになることを期待しています。

招待講演

(1)竹中 康将(理化学研究所 環境資源科学研究センター)
  「再生可能資源を原料とするバイオマスプラスチック開発の現状と最新動向」
(2)野々村 美宗(山形大学 大学院理工学研究科)
  「生体由来の物質の触感とトライボロジー:皮膚、毛皮、木材の質感の物理的起源」

依頼講演

(1)内山 峰人(名古屋大学 大学院工学研究科)
  「炭素-水素結合の可逆的活性化に基づく環境低負荷型精密アニオン重合の開発」
(2)江口 裕(名古屋工業大学)
  「クライオゲルの構造制御に基づくセルロース/エポキシ複合材料と調製とトライボ特性評価」

※一般講演の有無: なし

 

B-5 接着・粘着,ゴム・エラストマー,繊維における研究開発の動向(接着学会・ゴム協会・繊維学会)

日本接着学会中部支部 支部長 河合 道弘(東亞合成(株))
           担当者 永田 謙二(名古屋工業大学)
日本ゴム協会東海支部 支部長 鳥澤 浩司(東海興業(株))
           担当者 山本 勝宏(名古屋工業大学)
繊維学会東海支部   支部長 永田 謙二(名古屋工業大学)
           担当者 猪股 克弘(名古屋工業大学)

主旨:接着・粘着、ゴム・エラストマーおよび繊維における技術開発は、機械や構造物をはじめ、最近の新規製品や軽量化・コンパクト製品などの開発を支える基盤技術として重要な役割を果たしている。これらに関する技術の進歩・発展に依存している産業分野は大変幅広く、接着・粘着、ゴム・エラストマーおよび繊維関連の研究開発が活発に行われている。このような背景から、本討論会では、接着・粘着、ゴム・エラストマーおよび繊維の基礎から最新の材料設計と技術開発の知見、さらにはそれらを担う人材の育成について、周辺の関連材料/技術を含めて招待・依頼講演で構成して討論いたします。

招待講演

(1)尾形 修司(名古屋工業大学)
  「金属樹脂間の接着にもたらす水分の特異な働き:電子レベルからのシミュレーション」
(2)岡本 正巳(豊田工業大学)
  「天然ゴムラテックスナノ粒子を応用した生体コンポジット」
(3)濱田 州博(公立諏訪東京理科大学)
  「繊維の高等教育とは」

依頼講演

(1)内藤 圭史(岐阜大学 工学部)
  「ウニ状炭素粒子に関する研究の現在地 -再現性の向上と複合材料化に向けて-」
(2)今井 祐介(産業技術総合研究所)
  「リサイクル炭素繊維の繊維強度分布と繊維/樹脂界面せん断強度の同時評価法の開発と国際標準化」
(3)高橋 倫太郎(名古屋大学)
  「小角X線散乱によるゲル化のメカニズムに関する研究」
(4)橋本 慧(岐阜大学)
  「伸張誘起結晶化を利用したイオンゲルの強靭化」

※一般講演の有無: なし

 

B-6 界面活性剤と油のあやなす未来技術(油化学会)

支部長 八田 明生(竹本油脂(株)), 担当者 平下 恒久, 山本 靖(名古屋工業大学)

主旨:界面活性剤は、一つの分子内に疎水基と親水基の両方をあわせ持つ両親媒性化合物です。その特性により、水中や油中、また気/液界面において、さまざまな集合体(ミセル、ベシクル、エマルション、単層、二重層)を形成します。これまで、洗浄・可溶化・乳化・分散・エマルションといった工業的な観点からはもちろんのこと、さまざまな組成や機能をもつ生体膜に関する生物学的な観点も含め、学際領域部門の一つとして、界面活性剤は広範な研究が行なわれてきました。今回の特別討論会では、「界面活性剤と油のあやなす未来技術」と題し、界面化学や油化学とのかかわりが深い食品関連やバイオ関連にかかわる最近の研究内容について、2人の先生方にご講演いただきます。

招待講演

(1)仁科 淳良(東海学園大学 健康栄養学部)
  「天然生理活性成分の単離同定と生理活性の測定(主にミャンマー伝統生薬中の成分と生理活性の探索について)」
(2)西村 聡子(愛知工業大学 工学部)
  「窒素化合物処理における環境微生物の利用およびバイオフィルム形成」

※一般講演の有無: なし

 

B-7 階層性が生み出す色材(色材協会)

支部長 河野 芳海(静岡大学 工学部), 担当者 酒井 俊郎(信州大学 工学部)

主旨:私たちが当たり前に目にしている色は、光の吸収、反射、散乱、干渉などが様々な現象が組み合わさって発現しています。また、光の吸収、反射、散乱、干渉などが現象は、分子、コロイド、コロイドの集積体などのサイズの階層性によって生み出されています。さらには、色を載せる基材も肌、紙、金属、プラスチックス、繊維など種々様々であり、基材上への色の固体化も一つの階層性と言えます。そこで本企画では、階層性が生み出す色材についてご講演をいただき、何気なく目にしている色の神秘を共有できる討論会を目指したいと思います。

招待講演

(1)岡田 友彦(信州大学 工学部)
  「シリカをベースとした多機能性体質顔料の設計」
(2)唐木 典敬(株式会社セイコーアドバンス)
  「色材ができるまでの階層性」
(3)江口 哲也(花王(株))
  「コロイド凝集制御技術による水性顔料インクの多用途展開」

※一般講演の有無: 有

 

B-8 次世代ハイブリッド表面技術によるカーボンニュートラル社会への貢献(表面技術協会)

支部長 兼松 秀行(鈴鹿工業高等専門学校), 担当者 呉 松竹(名古屋工業大学)

主旨:現代社会において、気候変動問題はますます深刻化しており、カーボンニュートラルへの移行は急務となっています。このような背景の中で、次世代ハイブリッド表面技術は、エネルギー効率の向上や環境負荷の低減に寄与する重要な技術として注目されています。本討論会は、ハイブリッド表面技術の最新動向、全固体電池やリチウムイオン電池の性能向上、電気自動車や水素燃料車の開発および軽量化に関する課題、そして産業応用への可能性について自動車、電気電子、製造業など、各産業分野におけるハイブリッド表面技術の応用例とその普及に向けた課題などに関して、学術界と産業界が一堂に会し、最新の研究成果や実用化事例を共有し、今後の技術開発と社会実装の方向性を議論する場を提供します。討論会の目的は、異なる専門分野の知見を融合させ、ハイブリッド表面技術の可能性を最大限に引き出すことです。これにより、カーボンニュートラル社会の実現に向けた具体的な道筋を描くとともに、新たな技術開発の方向性を示すことが期待されます。

特別招待講演(表面技術協会)

(1)別所 毅(名古屋大学)
  「パワーデバイス・電池用の高放熱材開発―表面処理を用いた界面熱抵抗の低減」

招待講演

(1)八代 仁(岩手大学 理工学部)
  「PEFC用セパレータとしてのステンレス鋼の適用性」
(2)幅崎 浩樹(北海道大学 大学院工学研究院)
  「金属のアノード酸化技術を用いたカーボンニュートラルへの貢献」
(3)瀬川 浩代(物質・材料研究機構 電子・光機能材料研究センター)
  「交流陽極酸化によるアルミナ皮膜の形成とその特徴」

依頼講演

(1)宮崎 玲雄奈(名古屋工業大学)
  「フッ化物系固体電解質を用いた全固体Li電池の充放電特性」
(2)呉 松竹(名古屋工業大学)
  「ハイブリッド表面技術を活用した高機能性エネルギー材料および軽量高強度材料の創製」
(3)未定
  「未定」

※一般講演の有無: 有 (一般発表20 分, 学生発表15 分, 討論5分)

 

B-9 オプトバイオテクノロジー研究の最先端(名古屋工業大学オプトバイオテクノロジー研究センター)

センター長 神取 秀樹(名古屋工業大学), 担当者 古谷 祐詞(名古屋工業大学)

主旨:光を利用した生命現象の研究や新規治療法の開発では、光受容タンパク質であるロドプシンをベースとした光遺伝学ツールが注目されている。細胞での様々なロドプシン類の電気生理解析や、実際に網膜色素変性症などの失明難病疾患の治療に役立てることが研究・開発の最先端となっている。また、緑色蛍光タンパク質GFPが2008年ノーベル化学賞の受賞対象となるなど、生命現象の研究には様々な蛍光プローブの開発が重要である。本特別討論会では、それぞれの分野で活躍する研究者にオプトバイオテクノロジー研究の最先端についてご講演いただく。 

招待講演

(1)佐藤 守俊(東京大学 大学院総合文化研究科)
  「生命現象の光操作技術の創出」
(2)堅田 侑作((株)レストアビジョン,慶應義塾大学医学部)
  「光遺伝学的視覚再生治療の開発最前線」

依頼講演

(1)築地 真也(名古屋工業大学)
  「動物細胞を光で操作・可視化するオプトケミカルツール」
(2)角田 聡(名古屋工業大学)
  「高感度チャネルロドプシンを利用した視覚疾患遺伝子治療薬開発」

※一般講演の有無: なし