講演情報
[P2-11]集団移転参加者の津波リスクと生活リスクの変容実態と日常生活への影響の考察―東日本大震災の宮城県気仙沼市を事例として―
*金森 貴洋1、厳 網林2 (1. 株式会社パスコ、2. 慶應義塾大学)
東日本大震災の津波被災地では人口減少と高齢化が進行し、地形的制約のある中で高台等に小規模かつ分散して集団移転を実施した。津波に対する安全性は確保されたが、高齢者の徒歩による生活環境は悪化し、生活の維持が困難になる「生活リスク」が新たに生じた可能性がある。本研究は、宮城県気仙沼市の集団移転参加者を対象として、特に高齢者に着目しながら、震災前と復興後の居住地における津波リスクと生活リスクの関係とその変化を明らかにし、変化が生じた要因と移転後の日常生活への影響について考察を行う。具体的には、質問紙調査により収集した居住地情報と、各時期の最寄り生活施設までの徒歩アクセシビリティより生活リスクを評価し、移転先の選好条件と生活実態を踏まえた考察を行う。本研究により、津波リスクと生活リスクへの対応を両立した、誰もが住み続けられる復興を実現するための、一つの基礎的知見となることが期待される。
