講演情報

[口演06-4]糖尿病関連腎臓病患者のセルフケアの実態および関連要因の検討

○白藤 友紀、松井 希代子 (金沢医科大学看護学部)
【目的】糖尿病関連腎臓病(以下、DKD)患者のセルフケアの実態および関連要因を明らかにする。
【方法】糖尿病専門医の外来に通院中のDKD 患者(病期2,3 期)を対象に質問紙調査を実施した。調査項目:DKD 患者のセルフケア項目(先行文献を参考に作成)と基本属性、関連要因(セルフモニタリングの実施、負担感、医師への信頼の様相)とした。
データ収集:留め置き郵送法とした。分析方法:セルフケア項目は記述統計、関連要因の検討は、探索的因子分析により特定されたセルフケア項目の因子を従属変数、関連要因を独立変数として検討した。
本研究は、所属施設の倫理審査委員会の承認を得た。
【結果】回収数116 名(40.8%)、有効回答数85 名(73.3%)。男性55 名(64.7%)、女性30 名(35.3%)、平均年齢62.9 ± 10 歳、糖尿病罹病期間16.7 ± 11 年、HbA1c 値7.0%以上53 名(62.4%)であった。セルフケアの実態は、セルフケア項目の「とても当てはまる・当てはまる」で5 割以上の項目は、“汁物や麺類は汁を残すようにしている”(54.1%)、”周囲に糖
尿病であることを伝える”(52.9%)であった。「まったく当てはまらない・当てはまらない」で5 割以上の項目は、“時間のあるときに調理をし冷凍保存しておく”(58.8%)、“アルコールの量を減らすが少しは飲む”(55.3%)であった。セルフケア項目は因子分析により19 項目4 因子構造(Cronbachʼα= 0.78)であった。4 因子は【普段の生活の中での調整】【周囲との関係を重視した調整】【DKD の食事を意識した調整】【苦痛の軽減につながる意思決定】とした。セルフケア4 因子と関連要因について、有意差のあったもののみを述べる(表1)。基本属性(性別、年齢、DKD セルフケア歴の認識など)、セルフモニタリング実施(腎機能、尿アルブミン・タンパクなど)で関連を認めた(表1)。
【考察】DKD 患者のセルフケアの関連要因として、セルフモニタリングの実施、DKD のセルフケア歴の認識、性別や年齢が示唆された。これらを踏まえ、セルフモニタリングの重要性を強調し、データの推移とともに生活を振り返る支援が重要である。また、DKD を意識づけるための印象に残るアプローチが重要である。