セッション詳細

[M1]交流集会1
外傷看護における判断・実践・教育力の変容—臨床現場におけるJNTECの効果を考える—

2025年11月7日(金) 10:30 〜 12:00
第8会場(2階 207会議室)
座長:山中 雄一(京都大学医学部附属病院 救命救急センター)、佐伯 悦彦(東京医科大学病院 看護部)
企画:外傷看護委員会
2008年にスタートした JNTEC(Japanese Nurse Trauma Evaluation Course) は、外傷初期診療に携わる看護師に、組織的かつ実践的な教育を提供することを目的に設計されたプログラムです。2025年現在までに延べ9,000人を超えるプロバイダーが育成され、全国の医療機関で外傷看護の標準化と質の向上に大きく貢献してきました。
外傷看護の現場では、「今、何を優先すべきか」「どこに危機が潜んでいるか」といった判断を瞬時に下し、的確な初期対応へと結びつける力が求められます。プレホスピタルにおける看護では、限られた時間と情報の中での迅速な判断と介入が予後を左右し、初療室では多職種チームと協働しながら高度で複雑な対応を同時並行で進める力が必要です。こうした実践の土台となるのは、判断力・観察力・実践力に加えて、患者や家族に寄り添う姿勢や柔軟なコミュニケーション能力です。さらに近年では、後進を育てるOJTや多職種への教育支援を担う看護師も増えており、教育者としての役割も強く期待されています。
このような背景から、JNTECがどのように“現場の力”を育て、その効果がどのように発揮されているのかを検討することは、今後の外傷看護教育の方向性を描く上で重要な課題といえます。
本交流集会では、JNTECを受講した看護師が登壇し、臨床現場における判断・行動・連携の変化を具体的な症例を通して共有します。受講前後の視点の変化や、リーダーシップや教育的関わりの広がりに注目し、知識やスキルが職場内でどのように共有され、組織の安全文化・学習文化にどのような影響を及ぼしているかについても、参加者とともに考えます。
教育によって現場がどう変わるのか、そして学びがどのように行動へと結実するのかをともに考えながら、教育と実践のつながりを再確認し、参加者それぞれが看護観や教育観を広げる契機とします。

<外傷看護委員会>
委員長  苑田 裕樹(令和健康科学大学)
副委員長 山中 雄一(京都大学医学部附属病院)
副委員長 和田 孝(岐阜西濃医療センター 西濃厚生病院)
委員   冨岡 小百合(大阪府立中河内救命救急センター)
     小池 伸享 (前橋赤十字病院)
笠原 真弓(浜松医療センター)
     佐伯 悦彦(東京医科大学病院)
     小越 優子(滋賀医科大学医学部附属病院)
     後小路 隆(令和健康科学大学)
     門馬 治(日本医科大学武蔵小杉病院)
     井上 千穂(川崎医科大学附属病院)
担当理事 佐藤 憲明(日本医科大学付属病院)

[M1-01]JNTECは現場で活かされているか?―修了者の外傷初期看護実践にみる効果と今後の課題―

○井上 千穂1 (1. 川崎医科大学附属病院 看護部)

[M1-02]救急現場の“最初の看護”とは―プレホスピタル領域における外傷看護の実践と特有の困難性

○峯田 雅寛1 (1. 山形県立中央病院 救急室)

[M1-03]救急初療室で求められる看護師の判断力~多職種連携の中で果たす看護師の実践的役割~

○立澤 宏真1 (1. 春日井市民病院 救急部)

[M1-04]その瞬間、家族をどう支えるか
~初療における患者・家族への寄り添いとケア~

○妻谷 美奈子1 (1. 地方独立行政法人堺市立病院機構 堺市立総合医療センター)

[M1-05]現場で“育つ・育てる”外傷看護―OFF-JT,OJTを通じた教育的支援の実践

○真子 敬史1 (1. 久留米大学病院 高度救命救急センター)