講演情報
[R1-11]宮崎県下鶴鉱山からの新鉱物、日之影石(hinokageite)について
*浜根 大輔1、永嶌 真理子2、森 祐紀3、大西 政之、田中 崇裕、今井 裕之、福本 辰巳 (1. 東京大学、2. 山口大学、3. 兵庫県立大学)
キーワード:
日之影石、かんらん石型構造
かんらん石型構造は、二価陽イオンを収容する2つのサイト(M1・M2)を有し、ケイ酸塩かんらん石の構造式はM2M1(SiO4)と表される。この構造式は鉱物種の理想化学組成としても機能しており、M1・M2サイトを占有する陽イオンの組み合わせに基づき、これまでにグラウコクロ石・CaMn(SiO4)、キルシュタイン石・CaFe(SiO4)、モンチセリ石・CaMg(SiO4)の3種が確立されている。本研究では、宮崎県日之影町下鶴鉱山産の試料から、MnMg(SiO4)を理想化学組成とするかんらん石型構造の鉱物を見出した。その鉱物は産地にちなんで日之影石(hinokageite)と命名され、国際鉱物学連合の新鉱物・命名・分類委員会(IMA-CNMNC)により新鉱物として承認された(IMA no. 2024-093a)。
下鶴鉱山産のアラバンド鉱を主体とする塊状マンガン鉱石には、ケイ酸塩鉱物が不規則に含まれている。確認されたケイ酸塩鉱物には、マンバンざくろ石、バラ輝石、パイロクスマンガン石、加納輝石、角閃石、テフロ石、日之影石、金雲母およびジルコンなどがあり、その鉱物組み合わせや存在比は試料ごとに異なる。日之影石は主としてマンバンざくろ石および加納輝石と密接に共生し、100 μm以下の不定形な粒状結晶として産出する。ほかの共生鉱物として、マンガンスピネル、磁硫鉄鉱およびパイロファン石などが認められた。
日之影石の化学組成は、WDS分析により(Mn1.212Mg0.728Fe0.061Ca0.003)Σ2.004Si0.998O4と求められた。この化学組成について、単結晶X線構造解析から得られたサイト占有率と、各元素のイオン半径、および先行研究で報告されているMn/Fe分配を考慮して、構造式はM2(Mn0.904Mg0.075Fe0.020Ca0.003)Σ1.002M1(Mg0.653Mn0.308Fe0.041)Σ1.002Si0.998O4と導かれた。これにより、M2サイトではMnが、M1サイトではMgが、それぞれ卓越して占有することが明らかとなり、理想化学組成はMnMg(SiO4)と決定された。粉末X線回折データから精密化された格子定数は、空間群Pbnmにおいて、a = 4.82284(2), b = 10.54056(5), c = 6.16506(3) Å, V = 313.404(3) Å3であった。
かんらん石型構造には、サイズが小さく対称性の高い(歪みの少ない)M1サイトと、サイズが大きく対称性の低い(歪みの大きい)M2サイトが存在する(図1)。この構造的特徴により、陽イオンのサイズ、結晶場効果、あるいは共有結合性の違いによって、サイト選択性が誘起される。Mg-Mn系の場合では、サイト選択性は主にイオン半径の差によることが知られており、イオン半径の小さいMgはM1サイトへ、イオン半径の大きいMnはM2サイトへと、それぞれ優先的に配分される。
苦土かんらん石・MgMg(SiO4)とテフロ石・MnMn(SiO4)は連続固溶体を形成するが、MgとMnが異なるサイトを優先的に占有するため、これらの中間組成領域ではM1・M2サイトの卓越元素が異なる状態となる。すなわち、0.25 < Mn/(Mn+Mg) < 0.75の組成範囲は、苦土かんらん石とテフロ石のいずれの理想組成によっても適切に表現することができない。このため、M1サイトにMgが、M2サイトにMnが卓越するMnMg(SiO4)を独立した鉱物種として定義する必要があり、それが日之影石(hinokageite)としてこのたび確立された。
下鶴鉱山産のアラバンド鉱を主体とする塊状マンガン鉱石には、ケイ酸塩鉱物が不規則に含まれている。確認されたケイ酸塩鉱物には、マンバンざくろ石、バラ輝石、パイロクスマンガン石、加納輝石、角閃石、テフロ石、日之影石、金雲母およびジルコンなどがあり、その鉱物組み合わせや存在比は試料ごとに異なる。日之影石は主としてマンバンざくろ石および加納輝石と密接に共生し、100 μm以下の不定形な粒状結晶として産出する。ほかの共生鉱物として、マンガンスピネル、磁硫鉄鉱およびパイロファン石などが認められた。
日之影石の化学組成は、WDS分析により(Mn1.212Mg0.728Fe0.061Ca0.003)Σ2.004Si0.998O4と求められた。この化学組成について、単結晶X線構造解析から得られたサイト占有率と、各元素のイオン半径、および先行研究で報告されているMn/Fe分配を考慮して、構造式はM2(Mn0.904Mg0.075Fe0.020Ca0.003)Σ1.002M1(Mg0.653Mn0.308Fe0.041)Σ1.002Si0.998O4と導かれた。これにより、M2サイトではMnが、M1サイトではMgが、それぞれ卓越して占有することが明らかとなり、理想化学組成はMnMg(SiO4)と決定された。粉末X線回折データから精密化された格子定数は、空間群Pbnmにおいて、a = 4.82284(2), b = 10.54056(5), c = 6.16506(3) Å, V = 313.404(3) Å3であった。
かんらん石型構造には、サイズが小さく対称性の高い(歪みの少ない)M1サイトと、サイズが大きく対称性の低い(歪みの大きい)M2サイトが存在する(図1)。この構造的特徴により、陽イオンのサイズ、結晶場効果、あるいは共有結合性の違いによって、サイト選択性が誘起される。Mg-Mn系の場合では、サイト選択性は主にイオン半径の差によることが知られており、イオン半径の小さいMgはM1サイトへ、イオン半径の大きいMnはM2サイトへと、それぞれ優先的に配分される。
苦土かんらん石・MgMg(SiO4)とテフロ石・MnMn(SiO4)は連続固溶体を形成するが、MgとMnが異なるサイトを優先的に占有するため、これらの中間組成領域ではM1・M2サイトの卓越元素が異なる状態となる。すなわち、0.25 < Mn/(Mn+Mg) < 0.75の組成範囲は、苦土かんらん石とテフロ石のいずれの理想組成によっても適切に表現することができない。このため、M1サイトにMgが、M2サイトにMnが卓越するMnMg(SiO4)を独立した鉱物種として定義する必要があり、それが日之影石(hinokageite)としてこのたび確立された。

