講演情報

[R1P-09]EPMAによるホウ素定量分析法の評価

*加藤 丈典1 (1. 名古屋大学)

キーワード:

電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)、ホウ素、補正計算

ホウ素は流体に移動しやすく、マグマの分化、熱水活動、変成作用に伴う流体の挙動を解析するのに有用な元素である。また、合金、セラミックス、半導体などの組織、構造、および、物性を左右する重要な元素である。
 電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)は、ミクロンオーダーの領域の元素濃度を非破壊で測定することができ、ホウ素の分析においても有用である。ホウ素の濃度を化学量論的に推定する手法もあるが、化学量論的推定が行えない鉱物やガラスではホウ素の定量分析が必要になる。
 EPMAによるホウ素定量分析では、極めてエネルギーの低いB K線(184 eV)を測定する必要がある。従来のステアリン酸鉛分光結晶にかわり、近年では人工多層膜分光素子が広く用いられている。しかし、人工多層膜分光素子はステアリン酸鉛分光結晶と比べて強度は高いが波長分解能が低い。そのため、X線の干渉やピークの裾がバックグラウンド測定位置の選択に影響する場合がある。また、バックグラウンドオフセットが大きい場合、バックグラウンドの非直線性が無視できなくなる。
 EPMA定量分析では、測定したX線強度から化学組成を求めるために補正計算を行う。補正計算では、試料内部で発生する特性X線の深さ分布(発生関数)をどのように表現するかが重要であり、これまでさまざまなモデルが提案されてきた。また、質量吸収係数も定量分析の正確さに大きく影響する。1 keV以下の軟X線領域では質量吸収係数になお不確かさが残されており、B K線についても、吸収元素や採用するデーターセットによって無視できない差がみられる。
 以上のことを踏まえ、B K線の測定や、補正計算に用いるモデルや物理パラメーターなど、EPMAによるホウ素の定量分析の信頼性を左右する要因について検討する。