講演情報
[R1P-10]天然ダイヤモンド表面の「溶解模様」について合成ダイヤモンドとの対比
*神田 久生1 (1. なし)
キーワード:
ダイヤモンド、表面模様
ダイヤモンド表面模様について、最近気づいた2つの例を報告する。
①リング状模様
試料ケース内にあった径5㎜の天然ダイヤモンド原石を見ていたところ、いくつものクレーターのような円形模様が目に入った。径1㎜の窪みのようである。さらに、別のケースの3㎜の天然ダイヤモンドにおいても円形模様が観察されたが、こちらでは円形は周囲より凸になっていた。
天然ダイヤモンドのリング状模様については古い報告がある。これは、リング状の凸と記載され、周囲が溶解されたため形成されたと記されている(Pandeya & Tolansky 1961)。
我々はリング状模様を合成ダイヤモンドにおいても観察したことがある(Michau et al 1999)。これは、高温高圧下、ゲルマニウムやリンを溶媒としてダイヤモンドを成長させたとき、そのダイヤモンド表面にリング状窪みとして見られた。表面模様の特徴から、このリングは成長の埋め残しであった。この埋め残しができた原因は、溶液中に不混和な液体が共存しておりその不混和液体のところではダイヤモンドが成長できずにリング状窪みになったといえる。
この合成ダイヤモンドの例から推察すると、天然ダイヤモンドのリング状窪みも成長の時の埋め残しで、その成因も、成長環境の溶液が不混和液体であったということもありうる。
②{111}面上ステップの特異方向
ダイヤモンドは、<110>方向の稜からなる八面体が理想的な形として表され、その{111}表面には、成長ステップやエッチピットの方位などに<110>方向がもっともよくみられ、特異な方向である。これは原子配列からも納得できる。
しかし、天然ダイヤモンドの多くは溶解を受けて角がとれて丸みを帯びている。ただ、その中でも多面体らしきものもあり、24面体に見えるものもある。このことから<110>以外にも特異な方向があることが示唆される。
かつてTolanskyは、天然ダイヤモンド{111}表面上の<110>からずれた方向のステップに注目し、著書に内角が90度と150度からなる歪んだ6角形のステップ模様の画像を載せている(Tolansky 1955)。
我々も、高圧合成ダイヤモンドにおいて明らかに<110>とは異なる成長ステップを観察したことがある(Michau et al, 1999)。その方向はトランスキーが示した形と一致していた。このステップの方向は<321>のようであり、この方向は天然にも合成にも見られることから、<110>に続く特異方向といえよう。
ただし、合成ダイヤモンドにみられる{111}面上に出来る歪んだ6角形は、天然ダイヤモンドと違って、外形の三角形に対して180度逆転していた。この歪んだ6角形が逆になる理由は不明であるが、天然ダイヤモンドでは溶解形、合成では成長形であることと関係あるかもしれない。
参考文献
D. Michau, H. Kanda, S. Yamaoka, Diamond and Related Materials, 8, 1125-1129 (1999)
D.C. Pandeya, S. Tolansky, Proc. Phys. Soc. 78, 12 (1961)
S. Tolansky, The microstructures of diamond surfaces, N.A.G Press Ltd. London 1955
①リング状模様
試料ケース内にあった径5㎜の天然ダイヤモンド原石を見ていたところ、いくつものクレーターのような円形模様が目に入った。径1㎜の窪みのようである。さらに、別のケースの3㎜の天然ダイヤモンドにおいても円形模様が観察されたが、こちらでは円形は周囲より凸になっていた。
天然ダイヤモンドのリング状模様については古い報告がある。これは、リング状の凸と記載され、周囲が溶解されたため形成されたと記されている(Pandeya & Tolansky 1961)。
我々はリング状模様を合成ダイヤモンドにおいても観察したことがある(Michau et al 1999)。これは、高温高圧下、ゲルマニウムやリンを溶媒としてダイヤモンドを成長させたとき、そのダイヤモンド表面にリング状窪みとして見られた。表面模様の特徴から、このリングは成長の埋め残しであった。この埋め残しができた原因は、溶液中に不混和な液体が共存しておりその不混和液体のところではダイヤモンドが成長できずにリング状窪みになったといえる。
この合成ダイヤモンドの例から推察すると、天然ダイヤモンドのリング状窪みも成長の時の埋め残しで、その成因も、成長環境の溶液が不混和液体であったということもありうる。
②{111}面上ステップの特異方向
ダイヤモンドは、<110>方向の稜からなる八面体が理想的な形として表され、その{111}表面には、成長ステップやエッチピットの方位などに<110>方向がもっともよくみられ、特異な方向である。これは原子配列からも納得できる。
しかし、天然ダイヤモンドの多くは溶解を受けて角がとれて丸みを帯びている。ただ、その中でも多面体らしきものもあり、24面体に見えるものもある。このことから<110>以外にも特異な方向があることが示唆される。
かつてTolanskyは、天然ダイヤモンド{111}表面上の<110>からずれた方向のステップに注目し、著書に内角が90度と150度からなる歪んだ6角形のステップ模様の画像を載せている(Tolansky 1955)。
我々も、高圧合成ダイヤモンドにおいて明らかに<110>とは異なる成長ステップを観察したことがある(Michau et al, 1999)。その方向はトランスキーが示した形と一致していた。このステップの方向は<321>のようであり、この方向は天然にも合成にも見られることから、<110>に続く特異方向といえよう。
ただし、合成ダイヤモンドにみられる{111}面上に出来る歪んだ6角形は、天然ダイヤモンドと違って、外形の三角形に対して180度逆転していた。この歪んだ6角形が逆になる理由は不明であるが、天然ダイヤモンドでは溶解形、合成では成長形であることと関係あるかもしれない。
参考文献
D. Michau, H. Kanda, S. Yamaoka, Diamond and Related Materials, 8, 1125-1129 (1999)
D.C. Pandeya, S. Tolansky, Proc. Phys. Soc. 78, 12 (1961)
S. Tolansky, The microstructures of diamond surfaces, N.A.G Press Ltd. London 1955

