講演情報
[R1P-20]Shojiite:北海道士別市産角閃石超族鉱物について
*濵田 麻希1、永嶌 真理子2、江島 輝美3、水上 知行1、長谷部 徳子4、門馬 綱一5、田村 明弘1、石井 彰洋6、岡本 研7、森下 知晃1,8 (1. 金沢大学・理工、2. 山口大学・院創成、3. 信州大学・理、4. 金沢大学・環日本海域環境研究センター、5. 国立科学博物館、6. 士別市博物館、7. 東海大学・生物、8. 海洋研究開発機構・)
キーワード:
shojiite、角閃石超族、北海道士別市、新鉱物
角閃石は多くの種が存在しており,Hawthorne et al. (2012)によって分類が整理された.本研究では角閃石超グループのsodium-(magnesium-iron-manganese)角閃石グループの新鉱物として,shojiiteを報告する(IMA No.2024-023a).Shojiiteは北海道士別市の幌加内オフィオライト分布域を流れる川の支流で巨礫として見つかった.Shojiiteは少量のクロム鉄鉱,稀にshojiiteが変質して形成した蛇紋石や緑泥石,ヒーズルウッド鉱と共生する.この角閃石はIshii et al. (2002)によってクロムリヒター閃石として記載されていたが,荒井章司名誉教授が詳細な化学式の検討を行ったことで新鉱物であることが判明した.本角閃石は上部マントルにおける交代作用によって形成されると推定されていることと,荒井名誉教授のこれまでのカンラン岩研究への貢献から,shojiiteと命名された.
湿式分析,熱重量分析,EPMA分析の結果により決定したShojiiteの化学式は,A(Na0.80□0.19K0.01)Σ1.00B(Na0.90Mg0.47Ca0.33Fe2+0.28Mn2+0.01Sr0.01)Σ2.00C(Mg4.65Cr0.18Fe3+0.11Al0.042Ni0.03)Σ5.01T(Si7.89Al0.11)Σ8.00O22(OH)2である.士別市産のshojiiteは普遍的にB席にCaとFe2+を含むが,粒子中及び5岩石中の化学組成は均質であった.
Shojiiteの結晶構造を図1に示す.結晶構造解析の結果,R1 = 3.51 % and wR2 = 9.70 %に収束した.また空間群はP21/m,格子定数はa = 9.7912 Å,b = 17.9438 Å, c = 5.2721 Å及びβ = 103.548(5)°であった.P21/m角閃石の構造式はAA2BM(4)2C[M(1)2M(2)2M(3)]T[T(1A)T(1B)2T(2A)2T(2B)2]8O22W2として表される.精密化の結果,M(1)及びM(3)席にはMgのみ占有し,M(2)及びM(4)席の占有率はM(2)[Mg0.901(3)Cr0.090Fe0.009(3)],M(4)[Na0.450Mg0.256(3)Ca0.166Fe0.128(3)]であった.端成分のshojiiteと士別市産shojiiteの格子定数を比較すると,士別市産shojiiteのほうがM(4)席にCa及びFe2+を含むため格子定数が大きい.M(4)席での平均イオン半径の増加に伴いM(4)-O2,M(4)-O4結合長が増加し,四面体と稜共有しているM(4)-O5,M(4)-O6結合長はほとんど変化しない.これらの非等方的な変化によりb軸長よりもa,c軸長がより伸長し,β角も拡大する.
Shojiiteの赤外分光スペクトルは,A席の占有状況に応じて大きく二種類に帰属できる.3720 cm-1付近の吸収はOH結合の次近接席であるA席にNaが占有しており,3670 cm-1付近の吸収はA席が空席となっている.これらの大きい吸収を詳細に解析すると9つの吸収が確認できた.既報の研究によりOH近接席のM(1)及びM(3)席にFe2+が存在するときの吸収位置が報告されており,本スペクトルでも確認できた.吸収ピークの面積比から求めたM(1)及びM(3)席におけるFe2+の存在量は0.228 apfuである.加えてshojiite内で起こる陽イオン置換を考慮すると,士別市産shojiiteの構造式はA(Na0.95□0.04K0.01)Σ1.00B(Na0.74Mg0.86Ca0.33Mn2+0.01Sr0.01)Σ1.95C[M(1)(Mg1.77Fe2+0.16)Σ1.93M(2)(Mg1.61Fe2+0.05Cr0.18Fe3+0.11Al0.04Ni0.03)Σ2.02M(3)(Mg0.88Fe2+0.08)Σ0.96]S4.91T(Si7.89Al0.11)Σ8.00O22(OH)2となる.各配位席における鉄の価数及び存在量を決定するためには,今後 Mössbauerスペクトルの測定が必要である.
引用文献
Hawthorne, F.C., Oberti, R., Harlow, G.E., Maresch, W.V., et al. (2012) Nomenclature of the amphibole supergroup. American Mineralogist, 97, 2031-2048.
Ishii, A., Okamoto, K. and Watanabe, T. (2002) Finding of chromian richterite rocks from the Horokanai ophiolite. Bulletin of the Shibetsu City Museum, 20, 17-25 (in Japanese).
湿式分析,熱重量分析,EPMA分析の結果により決定したShojiiteの化学式は,A(Na0.80□0.19K0.01)Σ1.00B(Na0.90Mg0.47Ca0.33Fe2+0.28Mn2+0.01Sr0.01)Σ2.00C(Mg4.65Cr0.18Fe3+0.11Al0.042Ni0.03)Σ5.01T(Si7.89Al0.11)Σ8.00O22(OH)2である.士別市産のshojiiteは普遍的にB席にCaとFe2+を含むが,粒子中及び5岩石中の化学組成は均質であった.
Shojiiteの結晶構造を図1に示す.結晶構造解析の結果,R1 = 3.51 % and wR2 = 9.70 %に収束した.また空間群はP21/m,格子定数はa = 9.7912 Å,b = 17.9438 Å, c = 5.2721 Å及びβ = 103.548(5)°であった.P21/m角閃石の構造式はAA2BM(4)2C[M(1)2M(2)2M(3)]T[T(1A)T(1B)2T(2A)2T(2B)2]8O22W2として表される.精密化の結果,M(1)及びM(3)席にはMgのみ占有し,M(2)及びM(4)席の占有率はM(2)[Mg0.901(3)Cr0.090Fe0.009(3)],M(4)[Na0.450Mg0.256(3)Ca0.166Fe0.128(3)]であった.端成分のshojiiteと士別市産shojiiteの格子定数を比較すると,士別市産shojiiteのほうがM(4)席にCa及びFe2+を含むため格子定数が大きい.M(4)席での平均イオン半径の増加に伴いM(4)-O2,M(4)-O4結合長が増加し,四面体と稜共有しているM(4)-O5,M(4)-O6結合長はほとんど変化しない.これらの非等方的な変化によりb軸長よりもa,c軸長がより伸長し,β角も拡大する.
Shojiiteの赤外分光スペクトルは,A席の占有状況に応じて大きく二種類に帰属できる.3720 cm-1付近の吸収はOH結合の次近接席であるA席にNaが占有しており,3670 cm-1付近の吸収はA席が空席となっている.これらの大きい吸収を詳細に解析すると9つの吸収が確認できた.既報の研究によりOH近接席のM(1)及びM(3)席にFe2+が存在するときの吸収位置が報告されており,本スペクトルでも確認できた.吸収ピークの面積比から求めたM(1)及びM(3)席におけるFe2+の存在量は0.228 apfuである.加えてshojiite内で起こる陽イオン置換を考慮すると,士別市産shojiiteの構造式はA(Na0.95□0.04K0.01)Σ1.00B(Na0.74Mg0.86Ca0.33Mn2+0.01Sr0.01)Σ1.95C[M(1)(Mg1.77Fe2+0.16)Σ1.93M(2)(Mg1.61Fe2+0.05Cr0.18Fe3+0.11Al0.04Ni0.03)Σ2.02M(3)(Mg0.88Fe2+0.08)Σ0.96]S4.91T(Si7.89Al0.11)Σ8.00O22(OH)2となる.各配位席における鉄の価数及び存在量を決定するためには,今後 Mössbauerスペクトルの測定が必要である.
引用文献
Hawthorne, F.C., Oberti, R., Harlow, G.E., Maresch, W.V., et al. (2012) Nomenclature of the amphibole supergroup. American Mineralogist, 97, 2031-2048.
Ishii, A., Okamoto, K. and Watanabe, T. (2002) Finding of chromian richterite rocks from the Horokanai ophiolite. Bulletin of the Shibetsu City Museum, 20, 17-25 (in Japanese).

