講演情報

[R1P-23]兵庫県生野鉱山産フライポン石

*大西 政之1、下林 典正2,3、篠田 圭司4、高谷 真樹2、浜根 大輔5 (1. なし、2. 京大・院理、3. 益富地学会館、4. 大阪公大・院理、5. 東大・物性研)

キーワード:

フライポン石、カオリナイト-蛇紋石族、粘土鉱物、生野鉱山

フライポン石は1927年にベルギーから初めて記載[1]された亜鉛粘土鉱物で、カオリナイト-蛇紋石族に属し、(Zn,Al)3(Si,Al)2O5(OH)4の理想化学式で示される[2]。本鉱物の産出は世界的にも比較的希で、鉱物学的データの報告例は少ない[3-5]。日本では山口県喜多平鉱山[6,7]、大分県木浦鉱山[8,9]から報告されており、前者はアロフェンおよびハロイサイト、後者はソーコン石との密接な集合体として産出する。今回、兵庫県朝来市生野町小野に位置する生野鉱山金香瀬からフライポン石を見出し、鉱物学的データを得ることができたので報告する。

 生野鉱山のフライポン石は、主に石英と “褐鉄鉱” からなる多孔質集合体の割れ目に “マンガン土”、異極鉱を伴い産出する。異極鉱はフライポン石の表面に自形をなしていることが多い。フライポン石は最大直径80 μm、厚さ3 μmの薄板状結晶のブドウ状集合体 (直径0.5 mm以下) をなし、肉眼的には白~淡青色で真珠光沢を呈する (Fig. 1)。条痕は白色である。浸液法による屈折率はα=1.618(2)、γ=1.622(2)、重液法による測定密度は3.00(3) g/cm3である。
 KBr法によるFTIRでは、3448 cm–1にO-H伸縮振動、1636 cm–1にH-O-H変角振動、997 cm–1にSi-O伸縮振動、443 cm–1にSi-O変角振動による吸収がそれぞれ認められた。
 化学分析はEPMA (日本電子 JXA-8105、WDS法、15 kV、10 nA、3 μm) で行った。8点の平均的な分析値はSiO2 19.14 (18.42~19.85)、Al2O3 17.64 (17.00~18.43)、ZnO 44.52 (43.26~45.87)、CuO 3.15 (2.89~3.44)、FeO 0.59 (0.42~0.76)、MnO 0.04 (0~0.07)、CaO 0.01 (0~0.03)、合計85.09 wt.%で、フライポン石の理想化学式に基づきO5(OH)4とした実験式は (Zn2.19Cu0.16Fe0.03Al0.66)Σ3.04(Si1.27Al0.73)Σ2.00O5(OH)4である。これまでに報告されたフライポン石の化学組成と比較すると、生野鉱山産はZnが多く、Siは少ない (Fig. 2)。
 粉末X線回折はガンドルフィカメラ (直径114.6 mm、40 kV、20 mA、グラファイトモノクロメーターで単色化したCuKα線) によって測定した。得られた回折線 [d Å (I) hkl] は7.09 (100) 002、4.620 (5) 020、3.548 (61) 004、2.649 (21) -201、2.499 (12) 211、2.387 (16) -203、2.262 (5) 221、2.128 (3) -214、2.002 (7) -205、1.770 (6) 008、1.662 (6) -207、1.540 (13) 060、1.505 (7) 251、1.413 (7) 064で、ICDD-PDF 14-366に準拠して指数づけを行い最小二乗法で精密化した単斜晶系の格子定数はa=5.343(5)、b=9.242(4)、c=14.19(2) Å、β=93.40(9)° である。d060は1.540 Åであり、3八面体型の1:1型層状ケイ酸塩の範囲にある。

引用文献
[1] Cesàro (1927) Annales de la Société Géologique de Belgique, 50, 106-110.
[2] Fransolet and Bourguignon (1975) Bulletin de la Société française de Minéralogie et de Cristallographie, 98, 235-244.
[3] Foord et al. (1983) The Mineralogical Record, 14, 131-132.
[4] Choulet et al. (2016) Mineralium Deposita, 51, 467-490.
[5] Arfè et al. (2017) Minerals, 7, 214.
[6] 白勢・上原 (2017a) 日本鉱物科学会講演要旨,R1-12.
[7] 白勢・上原 (2017b) 粘土科学討論会講演要旨,158-159.
[8] 井手ほか (2019a) 粘土科学討論会講演要旨,45-46.
[9] 井手ほか (2019b) 日本鉱物科学会講演要旨,R1-10.