講演情報

[R2-05]長崎西海市産ダイアモンドと共存する水酸化物スピネルの結晶構造

*吉朝 朗1、石丸 聡子1、徳田 誠1、西山 忠男1、荒井 章司2、杉山 和正3 (1. 熊本大学・院先端、2. 金沢大学・院自然、3. 東北大学・金研)

キーワード:

hydroxide spinel with microdiamonds、multi-defects structure、single crystal diffraction、water in the mantle

スピネル型水酸化物単結晶を、マイクロダイヤモンドを伴う長崎県西海市産クロミタイト中に発見した。TM2O4スピネル型化合物に大量に水素が含有された化合物は知られていなかった。各種化学分析、IR・ラマン分光法、SIMS測定から、3-8 wt%のH2Oを含むことが確認できた。単結晶回折法による高精度の構造解析から陽イオンの席選択や欠陥の詳細、水素の位置を決定した。多種多様な陽イオンを固溶しており、配置エントロピー増加による安定化が起こっている。M3+ or T3+ ⇄ [□および3H+]の置換と、ほぼ5分の1の陽イオンサイトの空孔を有し、43%におよぶ酸化物イオンがOH基である。多くの地球のマントルを構成する本来無水である造岩鉱物が数百から数千ppmの水素を水酸基として含有するのに対し、これまで特にスピネル型鉱物は水をほとんど全く含まない結晶として知られてきた。極めて高い水素含有量をもつこのスピネル構造鉱物の発見は、地球のマントル深部に、高い水の分圧状態が存在することを示している。沈み込むプレートの低温域(マイクロダイヤモンドと共存・包有していることなどから、450℃、2.8GPa以上、90km以深にて形成された)に、熱水流体の存在と間欠的な流体の混入が想定でき、マントル深部での水の存在状態に関する新たな知見が得られた。