講演情報
[R2P-07]円石藻 Braarudosphaera bigelowiiの殻を通過する光の光路解析
*古川 登1、平根 尚輝1 (1. 千葉大学)
キーワード:
Braarudosphaera bigelowii、殻、光路
Braarudosphaera bigelowii(以下、B. bigelowii)は、正十二面体に近い形態を持つカルサイト殻(ココスフェア)を特徴とする円石藻の一種である。本研究では、この殻の形態に関連する光学特性を解明するために、レイトレーシングシミュレーションを行った。シミュレーションはPythonを用いて実装し、メッシュデータの操作・処理にはTrimesh、レイトレーシングの計算にはRaysect、レイグリッドの生成や数値計算にはNumPyを使用した。
B. bigelowii の殻は正五角形のユニット(ペンタリス)から構成されており、各ペンタリスは5つの台形要素の接合により形成され、その辺の長さは数マイクロメートルである。これらのペンタリスが組み合わさることで、細胞を包み込む正十二面体に近い構造(ココスフェア)を形成している。方解石は大きな複屈折をもつが,殻の厚さを1umとしたとき,殻の外側から入射した光が殻の内側に到達したときの異常光と通常光のずれは0.1um程度しかないため,本研究では複屈折の影響は無視できるものとして扱った。シミュレーションに先立ち,アルゴリズムの正確性を評価するため、屈折率 1.66、厚さ 1 𝜇m のモデル を用いた屈折角検証 を行い,スネルの法則から導出される理論値と、プログラムが出力する計算値を比較 することで、実装したベクトル演算の正確性を確認した。
過去の研究における殻上でのカルサイトのエピタキシャル成長に関する実験(古川,亀尾 2004)では、台形面がカルサイトの劈開面とほぼ一致することが示されている。本シミュレーション結果は、B. bigelowiiの殻に入射した光が、その幾何学的な形態を反映して反対側へとほぼ直進することを示している。一方で、殻の周辺部では光が外側へ散乱する経路も観察された。光学顕微鏡写真(例えば荻野 2024)では、生物の周囲に影のような暗い領域が確認されるが、これは生物が「影を作る機能」を能動的に持っているというよりは、構造化されたカルサイト殻による光の屈折や散乱の結果である可能性が高く、この光学特性が細胞の光環境制御に寄与していることが示唆される。
古川 登,亀尾 浩司 2004, 円石藻化石Braarudosphaera属とDiscoaster属の結晶学的方位. 日本岩石鉱物鉱床学会講演要旨
萩野 恭子 2024, 円石藻 Braarudosphaera bigelowii と ニトロプラスト研究のこれまで・これから. 藻類 72: 175–182
B. bigelowii の殻は正五角形のユニット(ペンタリス)から構成されており、各ペンタリスは5つの台形要素の接合により形成され、その辺の長さは数マイクロメートルである。これらのペンタリスが組み合わさることで、細胞を包み込む正十二面体に近い構造(ココスフェア)を形成している。方解石は大きな複屈折をもつが,殻の厚さを1umとしたとき,殻の外側から入射した光が殻の内側に到達したときの異常光と通常光のずれは0.1um程度しかないため,本研究では複屈折の影響は無視できるものとして扱った。シミュレーションに先立ち,アルゴリズムの正確性を評価するため、屈折率 1.66、厚さ 1 𝜇m のモデル を用いた屈折角検証 を行い,スネルの法則から導出される理論値と、プログラムが出力する計算値を比較 することで、実装したベクトル演算の正確性を確認した。
過去の研究における殻上でのカルサイトのエピタキシャル成長に関する実験(古川,亀尾 2004)では、台形面がカルサイトの劈開面とほぼ一致することが示されている。本シミュレーション結果は、B. bigelowiiの殻に入射した光が、その幾何学的な形態を反映して反対側へとほぼ直進することを示している。一方で、殻の周辺部では光が外側へ散乱する経路も観察された。光学顕微鏡写真(例えば荻野 2024)では、生物の周囲に影のような暗い領域が確認されるが、これは生物が「影を作る機能」を能動的に持っているというよりは、構造化されたカルサイト殻による光の屈折や散乱の結果である可能性が高く、この光学特性が細胞の光環境制御に寄与していることが示唆される。
古川 登,亀尾 浩司 2004, 円石藻化石Braarudosphaera属とDiscoaster属の結晶学的方位. 日本岩石鉱物鉱床学会講演要旨
萩野 恭子 2024, 円石藻 Braarudosphaera bigelowii と ニトロプラスト研究のこれまで・これから. 藻類 72: 175–182
