講演情報
[R2P-11]放射光単結晶X線異常分散法によるイゾクレーク鉱中のPb/Bi分布観察
*栗林 貴弘1、杉山 和正2 (1. 東北大学・院理、2. 東北大学・金研)
キーワード:
異常散乱法、硫塩鉱物、イゾクレーク鉱、PbL3吸収端
はじめに 硫塩鉱物の一般的な組成式はAmBnXpで記述され、Aには金属陽イオン(Cu+, Ag+, Pb2+など)、Bには構造中で陽イオンとして振る舞う半金属(As3+, Sb3+, Bi3+, Te4+)、Xにはカルコゲン(S2-, Se2-など)が入る。硫塩鉱物の構造では、As3+, Sb3+, Bi3+などの元素が孤立電子対を持つために、これら元素と周囲のSが結合する場合にSの配置が非対称に大きく歪んだ配位多面体となる特徴がある。今回研究対象とするイゾクレーク鉱は硫塩鉱物の一種であり、その分類では第四グループ内のロッド状構造を持つ独自複合モジュールグループに該当する。この鉱物の理想的な化学組成式はPb27(Cu,Fe,Ag)2(Sb,Bi)19S57であるが、RRUFFの鉱物リストでは、その化学組成式はPb26.4(Cu,Fe)2(Sb,Bi)19.6S57で示され、結晶構造は空間群Pnnmに属する。この鉱物は、コベル鉱[Pb11(Cu,Fe)2(Bi,Sb)15S35]グループに細分化されており、ギーゼン鉱[Pb27(Cu,Fe,Ag)2(Bi,Sb)19S57]と固溶体の関係にあるとされている。イゾクレーク鉱の構造は、Makovicky and Mumme (1986)やArmbruster and Hummel (1987)により報告されているが、隣接元素のPbおよびBiに関しては通常のX線回折実験では区別が難しく、構造解析は未完了である。この系列の天然試料では一部のPb席がBiに置換されると (Cu,Ag,Fe)席に分布する元素種と連動した置換がなされる。そのため、どのように置換されるのかという点は鉱物の分類上本質的に極めて重要な情報である。特に、対象とするイゾクレーク鉱ーギーゼン鉱系列ではPb/Biの組成比が分類の基準とされるが、組成比だけでは本質的な分類はできず、どの席でPb/Biの占有が生じるのかを考えた上での分類が必要である。本研究では、放射光単結晶X線異常散乱(SOR-SC-AXS)法を用いて、PbLIIIの吸収端近傍でX線回折実験を行い、イゾクレーク鉱中のPbの分布について直接的な観察を試みたので、その結果について報告する。
実 験 試料には、スウェーデン、Vena鉱山産のイゾクレーク鉱を使用した。SOR-SC-AXS実験は、つくば市の放射光共同利用施設KEK, PFのBL-10Aで行った。BL-10A設置の垂直型四軸X線回折装置では、約7 - 24 keVのX線エネルギーを用いた実験が可能である.特に2.5 GeVのBM(偏向電磁石)ビームラインではPbLIII線の吸収端(13.035 keV)は,輝度が高いエネルギー領域であり,AXS実験に必要な強度積算にも有利である。AXS実験では、まずPbSのXANESスペクトルを測定し、PbLIIIの吸収端位置を決定後、吸収端から15 eV低エネルギーの波長を選択し回折実験を行った。強度測定は独立空間(sinθ/λ<0.71)に対して行った。
結果と考察 イゾクレーク鉱構造で、Pb/Biの混合サイトの存在を示唆する結果を得ており、現在、このPb/Bi混合サイトの配位環境の特徴について検討を進めている。イゾクレーク鉱のBiは,Sb/Biサイトに分布する場合と,Pb/Biサイトに分布する場合がることを実験的に確定した今回の結果は,硫塩鉱物の分類上非常に重要な知見であると考える。また、このようなPb/Bi混合サイトの存在は、硫塩鉱物における支配的構成要素規則(dominant constituent則)に対して新しい知見となると考えられる。
実 験 試料には、スウェーデン、Vena鉱山産のイゾクレーク鉱を使用した。SOR-SC-AXS実験は、つくば市の放射光共同利用施設KEK, PFのBL-10Aで行った。BL-10A設置の垂直型四軸X線回折装置では、約7 - 24 keVのX線エネルギーを用いた実験が可能である.特に2.5 GeVのBM(偏向電磁石)ビームラインではPbLIII線の吸収端(13.035 keV)は,輝度が高いエネルギー領域であり,AXS実験に必要な強度積算にも有利である。AXS実験では、まずPbSのXANESスペクトルを測定し、PbLIIIの吸収端位置を決定後、吸収端から15 eV低エネルギーの波長を選択し回折実験を行った。強度測定は独立空間(sinθ/λ<0.71)に対して行った。
結果と考察 イゾクレーク鉱構造で、Pb/Biの混合サイトの存在を示唆する結果を得ており、現在、このPb/Bi混合サイトの配位環境の特徴について検討を進めている。イゾクレーク鉱のBiは,Sb/Biサイトに分布する場合と,Pb/Biサイトに分布する場合がることを実験的に確定した今回の結果は,硫塩鉱物の分類上非常に重要な知見であると考える。また、このようなPb/Bi混合サイトの存在は、硫塩鉱物における支配的構成要素規則(dominant constituent則)に対して新しい知見となると考えられる。
