講演情報
[R2P-12]東青ヶ島海底熱水孔に観察されるグリグ鉱の磁気特性
*氏家 蓮1、栗林 貴弘1、長瀬 敏郎4、長瀬 祥子2、梶原 碧1、佐藤 哲郎3、山本 裕二3 (1. 東北大・院理、2. 東北大・メディカルメガバンク機構、3. 高知大・海洋コア研、4. 東北大・総学博)
キーワード:
グリグ鉱、単磁区構造、海底熱水孔
[はじめに]
グリグ鉱(greigite)はフェリ磁性体を示す鉄硫化鉱物であり、古地磁気記録の解釈に関わる重要な磁性鉱物である。堆積性および合成グリグ鉱の磁気特性は報告されている一方、海底熱水環境で形成された天然グリグ鉱については知見が限られている。
海底熱水環境では、温度・流体組成・酸化還元状態が大きく変化するため、グリグ鉱の組織や磁気特性が堆積性・合成試料とは異なる可能性がある。本研究では、東青ヶ島海底熱水噴出孔で採取されたグリグ鉱について、鉱物組織観察と磁気測定により、その磁気的特徴を明らかにする。
[試料・実験方法]
2021年に、東北海洋生態系研究調査船「新青丸」による研究調査航海(KS21-20)が行われ、東青ヶ島海丘カルデラ熱水域のアクティブチムニーや硫化物マウンドから鉱石試料(2134R01)が採取された。この採取試料を用いた。岩石組織の観察には、偏光顕微鏡を用いた。さらに、走査型電子顕微鏡(JEOL JEM-7001)に付随した電子線後方散乱回折装置(Oxford, Aztec EBSD system)を使用して、グリグ鉱組織の解析を行った。磁気測定では、高知コアセンターに設置されている振動試料磁力計(Princeton Meas. Co., MicroMag 3900, Vibrating Sample Magnetometer:VSM)を使用し、ヒステリシス曲線、バックフィールド曲線、一次反転曲線(First-Order Reversal Curve:FORC)を取得した。ヒステリシス曲線とバックフィールド曲線から、磁気パラメータを取得し、Dayプロットに挿入した。また、FORCデータの解析には、FORCinel(version 3.08)を使用した。
[結果・考察]
偏光顕微鏡下では、グリグ鉱は赤みがかったクリーム色を呈する。また、グリグ鉱は球状もしくは自形を呈し、EBSD測定は、球状グリグ鉱が、複数の結晶からなる球晶であることを示している。結晶の最大粒径は約20㎛である。磁気測定では、S字状のヒステリシス曲線が得られた。Dayプロットでは、グリグ鉱がSD(Single Domain)-PSD(Pseudo Single Domain)の範囲にプロットされる。FORC図からは、測定したグリグ鉱が主にSD構造をもち、一部のグリグ鉱が磁壁をもつことが示唆される。
堆積環境起源のグリグ鉱は、SD構造をもつことが一般的である(例えば、Roberts, 1995)が、今回、一部のグリグ鉱が磁壁をもつことが確認された。これは、海底熱水環境起源と堆積環境起源では、グリグ鉱の形成環境が異なっているためであり、それによって、グリグ鉱の磁気特性に違いが生まれたと考えられる。
[引用]
Roberts, A. P. (1995). Earth and Planetary Science Letters, 134(3-4), 227-236.
グリグ鉱(greigite)はフェリ磁性体を示す鉄硫化鉱物であり、古地磁気記録の解釈に関わる重要な磁性鉱物である。堆積性および合成グリグ鉱の磁気特性は報告されている一方、海底熱水環境で形成された天然グリグ鉱については知見が限られている。
海底熱水環境では、温度・流体組成・酸化還元状態が大きく変化するため、グリグ鉱の組織や磁気特性が堆積性・合成試料とは異なる可能性がある。本研究では、東青ヶ島海底熱水噴出孔で採取されたグリグ鉱について、鉱物組織観察と磁気測定により、その磁気的特徴を明らかにする。
[試料・実験方法]
2021年に、東北海洋生態系研究調査船「新青丸」による研究調査航海(KS21-20)が行われ、東青ヶ島海丘カルデラ熱水域のアクティブチムニーや硫化物マウンドから鉱石試料(2134R01)が採取された。この採取試料を用いた。岩石組織の観察には、偏光顕微鏡を用いた。さらに、走査型電子顕微鏡(JEOL JEM-7001)に付随した電子線後方散乱回折装置(Oxford, Aztec EBSD system)を使用して、グリグ鉱組織の解析を行った。磁気測定では、高知コアセンターに設置されている振動試料磁力計(Princeton Meas. Co., MicroMag 3900, Vibrating Sample Magnetometer:VSM)を使用し、ヒステリシス曲線、バックフィールド曲線、一次反転曲線(First-Order Reversal Curve:FORC)を取得した。ヒステリシス曲線とバックフィールド曲線から、磁気パラメータを取得し、Dayプロットに挿入した。また、FORCデータの解析には、FORCinel(version 3.08)を使用した。
[結果・考察]
偏光顕微鏡下では、グリグ鉱は赤みがかったクリーム色を呈する。また、グリグ鉱は球状もしくは自形を呈し、EBSD測定は、球状グリグ鉱が、複数の結晶からなる球晶であることを示している。結晶の最大粒径は約20㎛である。磁気測定では、S字状のヒステリシス曲線が得られた。Dayプロットでは、グリグ鉱がSD(Single Domain)-PSD(Pseudo Single Domain)の範囲にプロットされる。FORC図からは、測定したグリグ鉱が主にSD構造をもち、一部のグリグ鉱が磁壁をもつことが示唆される。
堆積環境起源のグリグ鉱は、SD構造をもつことが一般的である(例えば、Roberts, 1995)が、今回、一部のグリグ鉱が磁壁をもつことが確認された。これは、海底熱水環境起源と堆積環境起源では、グリグ鉱の形成環境が異なっているためであり、それによって、グリグ鉱の磁気特性に違いが生まれたと考えられる。
[引用]
Roberts, A. P. (1995). Earth and Planetary Science Letters, 134(3-4), 227-236.
