講演情報

[R2P-13]AlPO4-5の不整合構造とその安定性

*小松 一生1、池田 拓史2、小平 哲也2 (1. 東京大学、2. 産総研)

キーワード:

AlPO4-5、不整合構造、X線回折

代表的なAFI型ゼオライトの一つであるAlPO₄-5は、分子吸着や触媒などへの応用から広く研究されている。しかし、その結晶構造については長年にわたり議論が続いており、空間群P6ccを持つ平均構造が提案される一方で、局所的な対称性低下や動的揺らぎの存在が指摘されてきた(例えばKlap et al., 1998)。近年、放射光X線回折により q ≃ 0.37c* の衛星反射が報告され、AlPO₄-5が不整合変調構造を有することが示唆されたが(Lotti et al., 2016)、その詳細な構造解析や変調構造の安定性については明らかにされていない。本研究では、約100 μmの大型単結晶を用いた単結晶X線回折測定により、AlPO₄-5の不整合変調構造を詳細に解析するとともに、高温・真空下でのラマン分光および温度可変X線回折測定を組み合わせることで、変調構造と細孔内水分子との関係を調べた。常圧下での単結晶X線回折測定では弱い衛星反射が観測され、その強度は真空下で著しく増大することが明らかとなった。衛星反射は335(5) K以上で消失する一方、室温まで冷却すると再び強度が増大した。O–H伸縮振動領域のラマン分光測定の結果から、衛星反射の出現は細孔内水分子の脱離に起因することが示された。変調構造の起源を明らかにするため、脱水した試料を用いた単結晶X線回折実験を実施した。その結果、変調ベクトル q = 0.36710(5)c* をもつ二次衛星反射までの回折データの取得に成功した。二次衛星反射まで含めた消滅則の解析から、(3+1)次元超空間群は P6(00γ)h と制約された。Charge flip法を用いて初期構造パラメータを導出し、この構造モデルに基づき二次までの変位変調パラメータを精密化した結果、変調構造はAlO₄およびPO₄四面体の相関した回転変位に由来することが示された。