講演情報

[R3P-02]放射光X線回折実験と分子動力学シミュレーションによるナトリウムケイ酸塩メルトの高圧構造解析

*三瓶 一冴1、坂巻 竜也1、荒木 大和1、市川 晴貴1、鈴木 昭夫1 (1. 東北大学)

キーワード:

ナトリウムケイ酸塩メルト、その場観察X線回折、分子動力学シミュレーション、動径分布関数、高圧

ケイ酸塩メルト(マグマ)の密度や粘性などのマクロな物理的性質は、その化学組成に大きく依存し、地球内部におけるマグマの移動や進化プロセスを支配している。これらの物性の組成依存性を根本から理解するためには、メルトのミクロな構造が組成によってどのように変化するのかを解明することが不可欠である。しかし、長距離秩序を持たない液体構造のモデリングは複雑であり、特に高温高圧下におけるケイ酸塩メルトの構造に対する系統的な知見は限られている。そこで本研究では、メルト構造の組成依存性を明らかにすることを目的に、組成の異なる2種類のモデルケイ酸塩メルト(Na2Si2O5およびNa0.94Al1.06Si2O6.06)を対象として、高温高圧条件下における構造をX線回折(XRD)実験と古典分子動力学(MD)シミュレーションを用いることで調べた。放射光XRD実験は、高エネルギー加速器研究機構のPF-ARのNE5Cビームラインで実施した。高温高圧条件下において、Na2Si2O5メルトおよびNa0.94Al1.06Si2O5メルトの構造をエネルギー分散型X線回折法で測定した。得られたX線散乱パターンから構造因子S(Q)を計算し、更にフーリエ変換して二体相関関数g(r)を求め、平均的な局所構造に関する情報を得た。酸化物ガラスやメルトのS(Q)には、非晶質物質の中距離構造(ネットワーク形成イオンを中心とした多面体ユニットが作る周期構造)を反映しているFSDP(First Sharp Diffraction Peak、第一回折ピーク)が観測されることが知られている。MD計算は、各組成の構成粒子を含む系を対象に、Guillot–Satorポテンシャルなどの適切な経験的二体ポテンシャルを用いてNPTアンサンブルで実施した。発表当日は、Na2Si2O6.06メルトと Na0.94Al1.06Si2O6.06メルトのS(Q)やg(r)の実験結果を比較するとともに、MD計算から得られた配位数、 Qn分布、T–O–T(T = Si, Al)結合角分布など、SiO4およびAlO4の3次元ネットワーク構造の解析結果を示す。これらの結果から、アルミニウムの有無や網目修飾イオンNa+の割合の違いがメルト構造に与える影響を明らかにし、ケイ酸塩メルトの構造に対する組成依存性について定量的・ミクロな視点から議論する。