講演情報
[R3P-03]高温高圧下におけるナトリウムケイ酸塩メルトの弾性波速度測定
*荒木 大和1、坂巻 竜也1 (1. 東北大・院理)
キーワード:
弾性波速度、珪酸塩メルト、超音波法、重合度
高温高圧下におけるケイ酸塩メルトの物性は地球内部におけるマグマの挙動や地震波低速度異常を理解する上で重要である。特に弾性波速度の圧力依存性を解明する研究例は限られており、メルト構造や重合度との関係は十分に理解されていない。本研究では、重合度の異なるケイ酸ナトリウムメルトNa₂Si₂O₅(NS2, NBO/T = 1)およびNa₂Si₄O₉(NS4, NBO/T = 0.5)を対象とし、高温高圧下での縦波速度(VP)測定と分子動力学(MD)シミュレーションを実施した。高温高圧実験にはSPring-8のBL04B1に設置された川井型マルチアンビル装置SPEED-1500を用いた。超音波法と放射光X線ラジオグラフィーを組み合わせることで、最大5.4 GPa、2100 Kまでの条件でメルトのVPを決定した。また、MDシミュレーションにより圧力誘起構造変化を原子スケールで解析し、リング構造やネットワークトポロジーの変化を評価した。弾性波速度測定の結果、NS2メルトのVPは圧力の増加に伴い単調に増加した。一方、NS4メルトでは約2 GPa付近で極小を示し、その後再び増加した。この対照的な挙動は、圧力増加に対する構造応答の本質的な違いを反映していると考えられる。比較的低重合なNS2メルトでは単純な緻密化が進行する一方、高重合なNS4メルトでは、本研究の圧力条件下において低圧~中圧領域で大きなケイ酸塩リングの崩壊を含む中距離構造の再編成が生じたことが示唆される。MDシミュレーションでは、弾性波速度の圧力依存性から予想されたネットワークトポロジーおよびリング統計の変化が確認された。また、弾性波速度の圧力依存性に極小をもつメルトと単調増加を示すメルトとの境界がNS2とNS4の間の組成・重合度に存在することを示している。本発表では、ケイ酸塩メルトの弾性波速度に対する重合度およびネットワーク構造の影響について議論する。
