講演情報
[R5-14]Oued Chebeika 002のマイクロスケール熱拡散率分布の測定
*石崎 拓也1、守屋 建作2、榎戸 祐馬1、櫻井 亮輔2、Black, Jay2、Mahan, Brandon2、臼井 寛裕1 (1. 宇宙航空研究開発機構、2. メルボルン大学)
キーワード:
熱拡散率、Oued Chebeika 002、炭素質コンドライト
太陽系形成初期から分化を経験していない始原的天体に由来する物質の熱拡散率は,その物質が形成された母天体の物理化学反応過程を支配する物性値であり,天体の形成進化を理解するための重要なパラメータである.はやぶさ2やOSIRIS-RExミッションでは始原的天体であるC型小惑星リュウグウとB型小惑星ベヌーが探査され試料が持ち帰れられた.始原天体から回収した試料を分析しその物性を理解することは,地球風化を受けておらず,物質の出自が明らかであるという点で極めて重要であるが,それだけでなく,リモートセンシングで取得した天体表面のデータと直接比較できる点でも科学的価値が高い.一方でリターンサンプルは分析に利用できる量が限られるため,リュウグウ・ベヌー試料に類似した鉱物組成を有するイヴナ型炭素質 (CI) を用いて相補的にその特性を理解することが有効である.しかしながら,これまでCIコンドライトの熱拡散率の分析例はこれまで著者らが測定した他になく,我々の分析例もイヴナ隕石3粒子,オルゲイユ隕石2粒子の計5粒子にとどまる (Ishizaki et al., JpGU proceeding, 2025).また,イヴナ隕石は88年前,オルゲイユ隕石に至っては164年前に落下した隕石であり,地球風化の影響を受けていることが報告されているため (Yokoyama et al., 2022),組成の変成に伴って熱機械的特性も変化している可能性がある.そこで本研究では,2024年に発見されたOued Chebeika 002に着目した.Oued Chebeika 002の落下日時は不明であるが,当該試料は地球風化をほとんど受けておらず,これまでのCIコンドライトの中で最も始原的であり,リュウグウ・ベヌー試料に極めて類似したバルク化学組成を持つことが報告されている (Broussard et al., 2026).本研究では,サブミリメートルスケールで局所的な熱拡散率の不均質性を分析可能なロックインサーモグラフィ周期加熱法 (Ishizaki et al., 2023) を用いて,Oued Chebeika 002の熱拡散率およびその分布と局所的な鉱物リソロジーとの関係を評価した.さらに,新たな本研究アプローチの結果を体系的に理解するために,得られた熱拡散率をリターンサンプルや他の炭素質コンドライト試料のものと比較した.本講演ではその結果について報告する.
