講演情報
[R6P-02]島根半島古浦層に産する未詳花崗岩礫の岩石学的特徴
*高橋 瑞季1、遠藤 俊祐1、酒井 哲弥1 (1. 島根大学)
キーワード:
古浦層、花崗岩礫、飛騨花崗岩類
飛騨-隠岐帯は,日本列島に分布する大陸地殻起源の基盤岩類の一つであり,その分布の西方限界を明らかにすることは西南日本の地質構造発達史を理解するうえで重要である.近年のジルコンU–Pb年代にもとづく研究から,大山西麓の溝口および淀江地域に飛騨花崗岩類相当の岩体が分布することが明らかにされつつある(例えばKawaguchi et al., 2023; Tsutsumi et al., 2025).さらにその西方に位置する島根半島では,下部中新統の古浦層の礫岩層中に含まれる帰属未詳の花崗岩礫や片麻岩礫の報告がなされ,片麻岩類については飛騨-隠岐帯に由来する可能性が指摘されている(三浦, 1973).しかし,これ以降の詳細な研究がなく,また花崗岩礫についても岩石学的検討はおこなわれておらず,その岩石学的特徴や帰属は不明である.そこで,本研究では古浦層中の花崗岩類の礫を対象に岩相にもとづく分類を行い,その帰属を検討するとともに,古浦層堆積時の供給源について考察する.
古浦層は,島根半島に分布する下部中新統の陸成から汽水成層であり,礫岩,砂岩,泥岩および安山岩質の火山砕屑岩からなる(Sakai et al., 2013).礫岩中には花崗岩,アプライト,片麻岩,変成岩類などの礫が含まれ,これらは古浦層堆積時に周辺に分布していた基盤岩類を反映すると考えられている.しかし,現在の島根半島では,これらの礫の供給源となり得る基盤岩類の露出は確認されていない.
野外調査の結果,河川堆積物,湖成タービダイト(デルタ堆積物)ならびに砕屑性貫入構造をなす礫岩層中に堆積岩起源礫に加えて流紋岩礫が多く認められ,花崗岩類の礫も散在して確認された.花崗岩類の礫は以下の岩相が認められた.
[1] 桃色の細粒~中粒黒雲母花崗岩:桃色のアルカリ長石を含み,その一部は石英との連晶(文象組織)を示す.不透明鉱物として磁鉄鉱を含む.
[2] 白色の黒雲母花崗岩:塊状の中粒花崗岩.斜長石が自形斑状の岩相もあり,いくつかに細分される可能性がある.副成分鉱物としてチタナイトや磁鉄鉱を含む.
[3] 変形トーナル岩:アルカリ長石をほとんど含まないトーナル岩相.粗粒な斜長石はすべて変形双晶を示し,また斜長石と石英の一部は動的再結晶により細粒化している.
[4] 片麻状トーナル岩:極少量のアルカリ長石を含むトーナル岩相.有色鉱物(主に角閃石)の定向配列による顕著な面構造が発達している.
花崗岩礫のなかでは[1]が最も多産し,大礫サイズのものも見られる.この岩相は非変形・浅所貫入型の磁鉄鉱系列花崗岩である古第三紀の山陰花崗岩類である可能性が高い.特徴の類似した桃色の黒雲母花崗岩として,古浦層の南方に広く分布する古第三紀の布部花崗岩は礫の起源の候補の一つと考えられる.一方,変形作用を受けている[3]および[4]の産出は稀であるが,溝口・淀江地域の岩相との類似性から飛騨花崗岩類の可能性がある.今後は,これら花崗岩類の帰属を確定させるために,年代学的検討が必要である.
文献:
Kawaguchi et al. (2023) Gondwana Res. 117, 56–85.
三浦 (1973) 地質雑 79, 701–702.
Sakai et al. (2013) Jour. Geol. Soc. Japan, 119 (4), 285–299.
Tsutsumi et al. (2025) Bull. Natl. Mus. Nat. Ser. C, 51, 15–25.
古浦層は,島根半島に分布する下部中新統の陸成から汽水成層であり,礫岩,砂岩,泥岩および安山岩質の火山砕屑岩からなる(Sakai et al., 2013).礫岩中には花崗岩,アプライト,片麻岩,変成岩類などの礫が含まれ,これらは古浦層堆積時に周辺に分布していた基盤岩類を反映すると考えられている.しかし,現在の島根半島では,これらの礫の供給源となり得る基盤岩類の露出は確認されていない.
野外調査の結果,河川堆積物,湖成タービダイト(デルタ堆積物)ならびに砕屑性貫入構造をなす礫岩層中に堆積岩起源礫に加えて流紋岩礫が多く認められ,花崗岩類の礫も散在して確認された.花崗岩類の礫は以下の岩相が認められた.
[1] 桃色の細粒~中粒黒雲母花崗岩:桃色のアルカリ長石を含み,その一部は石英との連晶(文象組織)を示す.不透明鉱物として磁鉄鉱を含む.
[2] 白色の黒雲母花崗岩:塊状の中粒花崗岩.斜長石が自形斑状の岩相もあり,いくつかに細分される可能性がある.副成分鉱物としてチタナイトや磁鉄鉱を含む.
[3] 変形トーナル岩:アルカリ長石をほとんど含まないトーナル岩相.粗粒な斜長石はすべて変形双晶を示し,また斜長石と石英の一部は動的再結晶により細粒化している.
[4] 片麻状トーナル岩:極少量のアルカリ長石を含むトーナル岩相.有色鉱物(主に角閃石)の定向配列による顕著な面構造が発達している.
花崗岩礫のなかでは[1]が最も多産し,大礫サイズのものも見られる.この岩相は非変形・浅所貫入型の磁鉄鉱系列花崗岩である古第三紀の山陰花崗岩類である可能性が高い.特徴の類似した桃色の黒雲母花崗岩として,古浦層の南方に広く分布する古第三紀の布部花崗岩は礫の起源の候補の一つと考えられる.一方,変形作用を受けている[3]および[4]の産出は稀であるが,溝口・淀江地域の岩相との類似性から飛騨花崗岩類の可能性がある.今後は,これら花崗岩類の帰属を確定させるために,年代学的検討が必要である.
文献:
Kawaguchi et al. (2023) Gondwana Res. 117, 56–85.
三浦 (1973) 地質雑 79, 701–702.
Sakai et al. (2013) Jour. Geol. Soc. Japan, 119 (4), 285–299.
Tsutsumi et al. (2025) Bull. Natl. Mus. Nat. Ser. C, 51, 15–25.
