講演情報
[R6P-05]西南日本白亜紀マントルウェッジの地球化学的特徴:マグマティックサイクルの成因
*大和田 正明1、児玉 省吾2、永嶌 真理子1、亀井 淳志3 (1. 山口大学創成科学研究科、2. (株)太平洋コンサルタント西日本技術部、3. 島根大学総合理工学部)
キーワード:
活動的大陸縁辺部、マグマの活動期と休止期、、非定常的プレート運動、マントルウェッジ
アジア大陸東縁部の沈み込み帯では、白亜紀〜古第三紀にかけて沈み込むスラブの速度、角度そして方向の変化が想定されている。そのためこの時期の火成活動には数回のパルスが生じており、マグマの活動期はFlare-up、休止期はLullと呼ばれる。こうしたプレート運動と火成活動の関係について、例えば当時の火山フロントの変遷から沈み込むプレートの角度や方向が論じられてきた。一方、沈み込む海洋プレートと対峙するマントルウェッジの物性や化学的な変化からパルス的な火成活動を読み解くことは重要な課題である。そこで本研究は、こうしたパルス的火成活動に対するマントルウェッジの地球化学的変遷を理解するため、主に近畿から九州に分布する白亜紀苦鉄質岩のNd同位体組成を含む微量元素と年代の関係を検討した。対象とした岩石は、京都から北部九州に分布し107 Ma–90 Maに活動した山陽帯・領家帯貫入岩類と75 Ma–65 Maの山陰帯貫入岩類である。
京都から九州に分布する107 Ma–90 Maの苦鉄質岩について、各岩体の貫入年代で補正したεNd同位体値は、貫入年代が若くなるに従って+4から-5へと変化する。これらの同位体組成はマントルが時代と共にNd同位体によりエンリッチしたことを示す。さらにTh/La比はNd同位体組成と負の相関を示す。沈み込む堆積物のTh/La比はマントルのそれに比べて高いので、高Th/La比の岩石はより堆積物の影響が大きいマントルに由来することを示唆する。貫入年代とNd同位体組成の関係そしてNd同位体組成とTh/La比の関係を考慮すると、107 Maから90 Maのマントルウェッジは時代とともに堆積物の影響が強まった可能性がある。これは海溝に堆積した陸源性堆積物が沈み込むプレートと一緒にマントルへもたらされ、マントルウェッジと反応することでマントル組成を変化させたと考えられる。一方、75 Ma–65 Maの山陰帯の苦鉄質岩では、年代補正したεNd同位体値が時代と共に-4から+2へと再びマントルウェッジがNd同位体に関して枯渇する方へ変化している。このことは、時代と共にマントルウェッジと例えばアセノスフェアなどのNd同位体に枯渇した物質との反応が進行したことを示唆する。以上から、西南日本白亜紀のマントルウェッジは定常的ではなく、時代とともにその化学的特徴を変化させてきた。こうしたマントルウェッジ組成の変遷は、沈み込み帯のプレート運動が非定常的であったことを支持する。そして、その詳細な解析は沈み込み帯火成活動のパルス的活動の原因を解明するための基礎データを提供できる。
京都から九州に分布する107 Ma–90 Maの苦鉄質岩について、各岩体の貫入年代で補正したεNd同位体値は、貫入年代が若くなるに従って+4から-5へと変化する。これらの同位体組成はマントルが時代と共にNd同位体によりエンリッチしたことを示す。さらにTh/La比はNd同位体組成と負の相関を示す。沈み込む堆積物のTh/La比はマントルのそれに比べて高いので、高Th/La比の岩石はより堆積物の影響が大きいマントルに由来することを示唆する。貫入年代とNd同位体組成の関係そしてNd同位体組成とTh/La比の関係を考慮すると、107 Maから90 Maのマントルウェッジは時代とともに堆積物の影響が強まった可能性がある。これは海溝に堆積した陸源性堆積物が沈み込むプレートと一緒にマントルへもたらされ、マントルウェッジと反応することでマントル組成を変化させたと考えられる。一方、75 Ma–65 Maの山陰帯の苦鉄質岩では、年代補正したεNd同位体値が時代と共に-4から+2へと再びマントルウェッジがNd同位体に関して枯渇する方へ変化している。このことは、時代と共にマントルウェッジと例えばアセノスフェアなどのNd同位体に枯渇した物質との反応が進行したことを示唆する。以上から、西南日本白亜紀のマントルウェッジは定常的ではなく、時代とともにその化学的特徴を変化させてきた。こうしたマントルウェッジ組成の変遷は、沈み込み帯のプレート運動が非定常的であったことを支持する。そして、その詳細な解析は沈み込み帯火成活動のパルス的活動の原因を解明するための基礎データを提供できる。
