講演情報
[R7P-03]マグマ成因解析に向けた西南日本基盤岩類の地球化学的特徴の予察的検討
*平山 剛大1、芳川 雅子1、柴田 知之1、川口 健太1、大和田 正明2 (1. 広島大学、2. 山口大学)
キーワード:
西南日本弧、基盤岩、地球化学
一般的に島弧マグマの化学組成は,マントルウェッジの部分溶融によって生成された初生マグマの性質に加え,スラブ由来成分の付加・分別結晶作用・マグマ混合・地殻物質の同化など複数の過程によって変化すると考えられている(e.g., DePaolo, 1981; Plank and Langmuir, 1993; Tatsumi and Eggins, 1995).特に地殻同化と分別結晶作用が同時に進行する同化分別結晶過程は,マグマの微量元素組成および同位体組成を変化させ得る(e.g., DePaolo, 1981).そのためマグマ成因や進化過程を理解するには,マントルおよびスラブ由来成分だけでなくマグマに関与し得る地殻物質の地球化学的特徴を制約することが重要であると考えられる.
西南日本には三波川変成帯・黒瀬川構造帯・四万十帯や領家変成岩など,起源・形成過程の異なる多様な地質体が帯状に分布している(e.g., Wallis et al., 2020).これらの基盤岩類は西南日本弧のマグマの地殻混染・同化作用を評価するうえで重要な地殻物質端成分となり得る.しかしマグマ進化過程の検討に必要となる全岩の主要・微量元素組成,Sr–Nd–Pb同位体比が同一試料で系統的に取得された西南日本基盤岩の報告例は限られており,このことが地殻成分の影響を定量的に評価するうえでの制約となっている.そこで本研究では,西南日本基盤岩類を対象に主要・微量元素,最終的にはSr–Nd–Pb同位体比を含む包括的な地球化学データセットを取得・蓄積し,マグマ成因解析に資する地殻物質端成分の基礎情報を整備することを目的とした.試料はそれぞれ山口県屋代島・愛媛県西部閏住地域・及び愛媛県西部三瓶地域に分布する領家変成岩類(グラニュライト・片麻岩)・三波川変成岩類(角閃岩・緑色片岩)・それらに付随する深成岩類及び黒瀬川構造帯深成岩類を対象とし,各地質体に含まれる苦鉄質岩類を用いて主要元素および微量元素を中心に予察的な比較を行った.
NbやZr, Th, Y等を用いた苦鉄質基盤岩類の微量元素比に基づくと,山口県屋代島に分布する領家変成岩類および斑レイ岩類は,Zr/Y比に対して比較的Nb/Y比が低く,Nb/Th比が高く島弧性苦鉄質岩に類似する地球化学的特徴を示す.一方,愛媛県閏住地域および愛媛県三瓶地域に分布する変成岩や深成岩の一部は,Zr/Y比に対して比較的高Nb/Y比,高Nb/Th比という海洋島玄武岩あるいは 海台玄武岩 に近い特徴を示し,プルーム起源海洋性玄武岩を原岩とする岩石を含む可能性が示唆される.微量元素組成に基づく原岩推定では,変成作用,変質等の影響を考慮する必要があるものの,本研究で認められた地球化学的特徴は,領家帯苦鉄質岩類の白亜紀島弧マグマ活動との関連や,三波川帯・黒瀬川帯における海洋性玄武岩起源の苦鉄質岩類の存在を示した先行研究と調和的である(e.g., Nakajima et al., 2004; Utsunomiya et al., 2011; 小山内ほか 2014).本発表ではさらに,既報の西南日本基盤岩類データおよび Hirayama et al. (2022) により報告された姫島火山群の捕獲岩類との比較に基づき,地殻物質端成分としての基盤岩類の地球化学的多様性を検討する.これらの比較は島弧マグマに関与し得る地殻成分の違いを評価するための基礎情報となりうる.
西南日本には三波川変成帯・黒瀬川構造帯・四万十帯や領家変成岩など,起源・形成過程の異なる多様な地質体が帯状に分布している(e.g., Wallis et al., 2020).これらの基盤岩類は西南日本弧のマグマの地殻混染・同化作用を評価するうえで重要な地殻物質端成分となり得る.しかしマグマ進化過程の検討に必要となる全岩の主要・微量元素組成,Sr–Nd–Pb同位体比が同一試料で系統的に取得された西南日本基盤岩の報告例は限られており,このことが地殻成分の影響を定量的に評価するうえでの制約となっている.そこで本研究では,西南日本基盤岩類を対象に主要・微量元素,最終的にはSr–Nd–Pb同位体比を含む包括的な地球化学データセットを取得・蓄積し,マグマ成因解析に資する地殻物質端成分の基礎情報を整備することを目的とした.試料はそれぞれ山口県屋代島・愛媛県西部閏住地域・及び愛媛県西部三瓶地域に分布する領家変成岩類(グラニュライト・片麻岩)・三波川変成岩類(角閃岩・緑色片岩)・それらに付随する深成岩類及び黒瀬川構造帯深成岩類を対象とし,各地質体に含まれる苦鉄質岩類を用いて主要元素および微量元素を中心に予察的な比較を行った.
NbやZr, Th, Y等を用いた苦鉄質基盤岩類の微量元素比に基づくと,山口県屋代島に分布する領家変成岩類および斑レイ岩類は,Zr/Y比に対して比較的Nb/Y比が低く,Nb/Th比が高く島弧性苦鉄質岩に類似する地球化学的特徴を示す.一方,愛媛県閏住地域および愛媛県三瓶地域に分布する変成岩や深成岩の一部は,Zr/Y比に対して比較的高Nb/Y比,高Nb/Th比という海洋島玄武岩あるいは 海台玄武岩 に近い特徴を示し,プルーム起源海洋性玄武岩を原岩とする岩石を含む可能性が示唆される.微量元素組成に基づく原岩推定では,変成作用,変質等の影響を考慮する必要があるものの,本研究で認められた地球化学的特徴は,領家帯苦鉄質岩類の白亜紀島弧マグマ活動との関連や,三波川帯・黒瀬川帯における海洋性玄武岩起源の苦鉄質岩類の存在を示した先行研究と調和的である(e.g., Nakajima et al., 2004; Utsunomiya et al., 2011; 小山内ほか 2014).本発表ではさらに,既報の西南日本基盤岩類データおよび Hirayama et al. (2022) により報告された姫島火山群の捕獲岩類との比較に基づき,地殻物質端成分としての基盤岩類の地球化学的多様性を検討する.これらの比較は島弧マグマに関与し得る地殻成分の違いを評価するための基礎情報となりうる.
