講演情報
[R7P-04]愛媛県松山市中島に産するざくろ石を含む瀬戸内火山岩類
*泉田 義智1、齊藤 哲1、白勢 洋平1 (1. 愛媛大・院理工)
キーワード:
ざくろ石、瀬戸内火山岩類、流紋岩
【はじめに】 ざくろ石グループはX3Y2(SiO4)3(主にX=Fe, Mn, Ca, Mg,Y=Al, Fe, Ti)の理想化学組成をもち,比較的風化に強く保存されやすいことや組成累帯構造を形成しやすいことなどから過去の記録を残しやすい鉱物である。火山岩中に斑晶として産出することもあり,日本においては中期中新世に活動した瀬戸内火山岩類の安山岩や流紋岩中に含まれることも知られている(竹内, 1941; 大森, 1942; 川畑・周藤, 2000など)。本研究の調査地である愛媛県松山市中島も瀬戸内火山岩類が産出する地域でざくろ石を含む流紋岩などが報告されている(石橋, 1960)。本研究では中島に産する瀬戸内火山岩類中のざくろ石やその母岩の流紋岩についてSEM-EDSによる分析やXRFによる全岩化学組成分析などを行い他産地との比較を行ったのでその結果を報告する。【産状】 中島には中生代の花崗岩類が広く分布し,それらを貫く第三紀の火山岩脈及び岩頸が認められる(石橋, 1960)。流紋岩には3つのタイプがあり,白色~明灰色で酸化鉄による茶褐色の縞目模様が著しいものを変質流紋岩,青みがかった灰色でガラスのような質感を持つものをガラス質流紋岩,白色~明灰色で変質流紋岩に類似した特徴を持つが部分的に暗灰色な箇所があり50 µm程度の黒雲母が多くみられるものを混在流紋岩とした。ざくろ石は0.3~2 mm程度で,露頭では変質流紋岩とガラス質流紋岩中に産出し(211)面がよく発達した光沢の強い偏菱二十四面体を示す。包有物としては幅1~15 µm柱状~針状の自形燐灰石,長径10~50 µm,短径10~30 µmの短冊状の自形ジルコンを非常に多く含む。調査地域には複数の流紋岩露頭が分布するが,ざくろ石斑晶を伴うものと伴わないものが存在する。【実験手法】 観察,分析には愛媛大学設置のJEOL製走査型電子顕微鏡JSM-6510LV,RIGAKU製粉末X線回折装置UltimaⅣを用い,全岩化学組成分析にはRIGAKU製波長分散型蛍光X線分析装置ZSX PRIMUSIIを用いた。【結果・考察】 ざくろ石はいずれのタイプの流紋岩中でも結晶形態,組成,包有物について同じ特徴を持っていた。ざくろ石の多くは組成累帯構造を持たず一様であったが一部にリム側にてわずかにFeとMgが置換する組成累帯構造を持つものもあった。SEM-EDSにて測定した平均化学組成は(Fe2+2.16Ca2+0.48Mg2+0.21Mn2+0.16)∑3.01(Al3+1.94 Ti4+0.01Fe3+0.05)∑2.00 (Si4+2.99 Fe3+0.01) ∑3.00O12(n=62)であった。Kawabata & Takafuji(2005)による瀬戸内火山岩類中の火成起源ざくろ石の組成と比較すると調和的であり,包有物である燐灰石やジルコンが石基中や長石斑晶中にみられることからも流紋岩中のざくろ石は火成起源であると考えられる。 変質流紋岩とガラス質流紋岩は含まれるざくろ石の結晶形態や組成,包有物の特徴が一致しており,石基斜長石のAn#についても変質流紋岩の平均値がAn#=22ガラス質流紋岩の平均値がAn#=24と近しい値を示す。一方でガラス質流紋岩の石基には微小なガラスが多く含まれることからマグマの起源は同じであるが固結時の条件の差によって異なる岩相になったと考えられる。地点によりざくろ石が含まれる流紋岩と含まれない流紋岩がみられたが,各タイプの流紋岩の石基斜長石組成は一致しておりどちらの全岩組成も瀬戸内火山岩類のトレンド上にあるため起源は同じであると考えられる。また,全岩化学組成分析では高いSr/Y比が得られ,Defant et al.(1991)によるアダカイト質岩の判別に使用された図にプロットするとアダカイト質岩とされるSr/Y比に相当するものもあり,瀬戸内火山岩類に特徴的なスラブ堆積物の部分溶融によって形成された流紋岩質マグマが起源である可能性が示唆される。

