講演情報
[R7P-10]熊本県内に分布する超苦鉄質岩類の形成過程と形成場の推定
*石丸 聡子1、西尾 成道1、中島 実奈美1、田村 明弘2、西山 忠男1 (1. 熊本大学、2. 金沢大学)
キーワード:
超苦鉄質岩類、単斜輝石、スピネル、微量元素組成
熊本県は九州中央部に位置し,県中央部を横断する臼杵–八代構造線を境に,南側には黒瀬川構造帯,北側には肥後変成帯が分布している。この他にも,木山変成岩や木の葉変成岩といった小規模な変成岩分布も確認されている。これらは中央構造線の西方延長に関連する先白亜紀変成岩類として知られ,変成年代や変成度については多くの研究が報告されてきた(小山内ほか,2014)。一方で,これらの変成岩類と共存する超苦鉄質岩類については,蛇紋岩化や再結晶の影響が大きいため,原岩の性質や形成場の検討は十分に進んでいなかった(例えば,Nishiyama et al., 2011)。
我々は,2020年以降の調査で,上記変成帯中に蛇紋岩化や再結晶の程度が低いウェールライト、ダナイト,輝岩類を記載してきた(中島ほか,2022 JAMS年会要旨;西尾・石丸,2024 JAMS年会要旨)。単斜輝石の微量元素組成やクロムスピネルの化が苦組成は,それを含む超苦鉄質岩類の形成過程推定に有用である。変成岩類から得られる情報に,超苦鉄質岩類に記録された火成活動の情報を組み合わせることで,熊本県内の地質体の形成条件をより多角的に議論できると期待される。
いずれの変成帯中に含まれる超苦鉄質岩類も,主に単斜輝石とカンラン石,スピネルから構成され,肥後帯中のものでは角閃石(カルシウム角閃石,直閃石)や直方輝石に富む。木山変成岩類中に存在するダナイトは一般に蛇紋岩化の程度が高いが,共存するクロムスピネルは低温での変成を免れて火成岩としての性質を保持していた(Fe3+/(Cr + Al + Fe3+) < 0.10)。カンラン石が残存する場合は,低いFo値 (77~88),NiO含有量 (0.1~0.4 wt.%) を示し,共存するスピネルは三価の鉄の含有量が低く,高いCr# (= Cr/(Cr+Al) 原子比; 0.65~0.90) を示すことから,島弧的な環境で形成された高Cr含有量のマグマからの結晶集積岩と判断していた。一方で,黒瀬川帯に産する単斜輝岩〜ウェールライトでは,クロムスピネルの三価の鉄の含有量が高く(Fe3+/(Cr + Al + Fe3+) < 0.30~0.55),TiO2含有量も高い(1.0~2.5 wt.%)ことから,中央海嶺玄武岩あるいは,OIB的なマグマからの結晶集積岩であると推定される。この特徴は,小山内ほか (2014)で示された変ハンレイ岩から推定された結果と調和的であった。
今回新たに得た単斜輝石の微量元素データからは,肥後帯中に産する試料中では,ウェールライトから単斜輝岩,ウェブステライトへと結晶分化の程度が進むにつれて単斜輝石の微量元素濃度が上昇する傾向が読み取れた。高Cr#のクロムスピネルを含むことから,ボニナイト的なマグマからの一連の結晶集積で形成された推定される。黒瀬川帯中のウェールライト〜単斜輝岩中の単斜輝石のコンドライトで規格化した(以降,CNを点けて表記)微量元素パターンは,ほぼフラットからMREEに富む上に凸のパターンを示すが,その濃度は,中央海嶺で産する集積岩類中のものと比較して低い値を示す(La/YbCN = 0.63, LaCN = 0.4~0.5)。発表では鉱物化学組成と微量元素組成をより詳細に検討し,形成場の推定についての議論をおこなう。
我々は,2020年以降の調査で,上記変成帯中に蛇紋岩化や再結晶の程度が低いウェールライト、ダナイト,輝岩類を記載してきた(中島ほか,2022 JAMS年会要旨;西尾・石丸,2024 JAMS年会要旨)。単斜輝石の微量元素組成やクロムスピネルの化が苦組成は,それを含む超苦鉄質岩類の形成過程推定に有用である。変成岩類から得られる情報に,超苦鉄質岩類に記録された火成活動の情報を組み合わせることで,熊本県内の地質体の形成条件をより多角的に議論できると期待される。
いずれの変成帯中に含まれる超苦鉄質岩類も,主に単斜輝石とカンラン石,スピネルから構成され,肥後帯中のものでは角閃石(カルシウム角閃石,直閃石)や直方輝石に富む。木山変成岩類中に存在するダナイトは一般に蛇紋岩化の程度が高いが,共存するクロムスピネルは低温での変成を免れて火成岩としての性質を保持していた(Fe3+/(Cr + Al + Fe3+) < 0.10)。カンラン石が残存する場合は,低いFo値 (77~88),NiO含有量 (0.1~0.4 wt.%) を示し,共存するスピネルは三価の鉄の含有量が低く,高いCr# (= Cr/(Cr+Al) 原子比; 0.65~0.90) を示すことから,島弧的な環境で形成された高Cr含有量のマグマからの結晶集積岩と判断していた。一方で,黒瀬川帯に産する単斜輝岩〜ウェールライトでは,クロムスピネルの三価の鉄の含有量が高く(Fe3+/(Cr + Al + Fe3+) < 0.30~0.55),TiO2含有量も高い(1.0~2.5 wt.%)ことから,中央海嶺玄武岩あるいは,OIB的なマグマからの結晶集積岩であると推定される。この特徴は,小山内ほか (2014)で示された変ハンレイ岩から推定された結果と調和的であった。
今回新たに得た単斜輝石の微量元素データからは,肥後帯中に産する試料中では,ウェールライトから単斜輝岩,ウェブステライトへと結晶分化の程度が進むにつれて単斜輝石の微量元素濃度が上昇する傾向が読み取れた。高Cr#のクロムスピネルを含むことから,ボニナイト的なマグマからの一連の結晶集積で形成された推定される。黒瀬川帯中のウェールライト〜単斜輝岩中の単斜輝石のコンドライトで規格化した(以降,CNを点けて表記)微量元素パターンは,ほぼフラットからMREEに富む上に凸のパターンを示すが,その濃度は,中央海嶺で産する集積岩類中のものと比較して低い値を示す(La/YbCN = 0.63, LaCN = 0.4~0.5)。発表では鉱物化学組成と微量元素組成をより詳細に検討し,形成場の推定についての議論をおこなう。
