講演情報

[R8-01]クロムスピネルの鉱物組織・化学組成に基づく西南日本三波川沈み込み型変成帯中の超苦鉄質岩体の起源の推定:ウェッジマントルの不均質性の評価に向けて

*會田 幸樹1、ウォリス サイモン1 (1. 東京大学)

キーワード:

蛇紋岩、橄欖岩、クロムスピネル、ウェッジマントル、三波川変成帯

沈み込み帯ウェッジマントルは,スラブから供給される流体の流入とそれに伴う岩石-流体反応により,高温部ではマグマ生成,低温部では蛇紋岩化を起こしていると考えられており,沈み込み帯のダイナミクスの理解のため,その物質科学的描像を得ることは非常に重要である.しかし,沈み込み帯深部は直接掘削が困難であり,ウェッジマントルの物質科学的証拠は捕獲岩や蛇紋岩泥火山などの特殊な場所から得られる試料に限られ,空間的に連続的な試料の獲得が難しい.

本研究では,沈み込み帯深部のプロセスを東西約800 kmにわたって連続的によく保存し,ウェッジマントル起源の超苦鉄質岩体を多数含む三波川変成帯に着目した.三波川変成帯から得られるウェッジマントル起源岩類は,プレート境界域付近に限られる可能性が高いものの,海溝方向・深度方向に多様な起源をもつ岩体が含まれることが期待される.

本発表では,三波川変成作用を被った橄欖岩体・蛇紋岩体(約55岩体)を網羅的に調査し,ウェッジマントル起源と考えられる岩石の組織・鉱物化学組成を分析した結果を報告する.特に,超苦鉄質岩に普遍的に含まれ,岩体の起源・履歴を記録していると期待されるクロムスピネルに着目した.EPMA分析(ラインプロファイルを含む約3000点),鉱物組織観察により,①火成的特徴,②三波川変成作用に伴う岩体の加熱,③蛇紋岩化反応と解釈できる組織と化学組成の特徴があることがわかった.また,このような特徴が関東山地,東海地方,紀伊半島,四国山地で地域ごとに異なることを示し,ウェッジマントルの海溝方向・深度方向の不均質性と,沈み込み帯の温度構造との関係について議論する.