講演情報
[S2P-02]愛媛県西条市雨乞西谷川のリスウェナイト
*柳沢 蒼汰1、高垣 光1,2、白勢 洋平1 (1. 愛媛大・理、2. 復建調査設計(株))
キーワード:
リスウェナイト、蛇紋岩、アンチゴライト、滑石、雨乞西谷川
【はじめに】
リスウェナイトは、超苦鉄質岩とCO2を含む流体との交代反応によって形成される、マグネシウム炭酸塩と石英からなる岩石である(Halls and Zhao, 1995; Hansen et al., 2005; Menzel, 2024)。日本では、長崎県雪ノ浦(Mori et al., 2007)、四国の中央構造線沿い(皆川ほか, 2008; 高垣・白勢, 2025)、静岡県出馬(Suzuki et al., 1977)、および新潟県の糸魚川地域(榎田・白勢, 2025)でリスウェナイトが見つかっている。また、愛媛県四国中央市浦山川からは、泥質片岩由来で片状の組織を持つリスウェナイトと蛇紋岩由来で塊状の組織を持つ2種類の産状、組織、鉱物組み合わせの異なるリスウェナイトが報告されている(Takagaki and Shirose, 2025)。今回、愛媛県西条市の雨乞西谷川においてもリスウェナイトの産出を確認した。本研究では、このリスウェナイトの産状や鉱物学的な特徴を記載し、その形成過程を明らかにすることを目的とする。
【産状・試料】
愛媛県西条市に位置する雨乞西谷川は中央構造線近くに位置しており、三波川帯のざくろ石帯から曹長石黒雲母帯に対応する泥質片岩が分布している。雨乞西谷川中流に幅10 m程度のリスウェナイト-滑石炭酸塩岩-変質蛇紋岩からなるレンズ状の岩体が河床部に20 m程度にわたって露出している。下流側の泥質片岩接触部ではアクチノ閃石片岩、滑石炭酸塩岩が分布し、岩体内部には変質蛇紋岩を伴う。岩体の大部分である中央部は塊状リスウェナイトからなる。上流側の泥質片岩接触部付近では緑泥石片岩を伴う片状リスウェナイトが分布し、接触部は剪断帯となっており、中に2~3 cm程度の塊状リスウェナイトを含む変質した泥質片岩からなる。塊状リスウェナイトは大部分が灰色で緻密、部分的に緑色である。片状リスウェナイトは淡緑色で脆く片状の組織を持ち、一部片理に沿って白い脈が見られる。また、5 mm程度の粗粒な斑晶状のドロマイトを特徴的に含む。滑石炭酸塩岩は大部分が灰色で、硫化鉱物を含み、塊状~片状である。変質蛇紋岩は暗緑色でやや灰色がかっており、片状である。
【実験手法】
組織観察および化学分析にはJEOL製SEM JSM-6510LV、鉱物の同定にはRIGAKU製XRD UltimaⅣを用いた。
【結果・考察】
リスウェナイトは片状タイプ、塊状タイプともにマグネサイトやドロマイトなどの炭酸塩鉱物、石英を主とし、微量の針ニッケル鉱、黄鉄鉱、クロム鉄鉱、含クロムモンモリロナイトが含まれる。その他、片状タイプについては方解石、含クロムカオリナイト、チタン酸化物、ビオラル鉱、ジーゲン鉱が、塊状タイプについては滑石、クリノクロア、磁硫鉄鉱、ペントランド鉱、ゲルスドルフ鉱が含まれている。リスウェナイトに含まれるクロム鉄鉱は、塊状タイプでは50 μm~数mm程度のクロム鉄鉱の残晶を含むが、片状タイプでは1~2 μm以下の粒状の集合である。また、リスウェナイト中に含まれる炭酸塩鉱物は粗粒なもの(0.1~6 mm)と細粒なもの(0.01 mm以下)が混在しており、粗粒なものについて、片状タイプでは双晶が発達したドロマイトが、塊状タイプでは板状で劈開が顕著なマグネサイトが多く見られた。
アクチノ閃石片岩は片理が発達しており、緑泥石やアクチノ閃石、石英を多く含む。変質蛇紋岩はアンチゴライト、滑石、マグネサイト、微量の緑泥石が含まれており、蛇紋石の一部を滑石が置き換えた組織も見られた。滑石炭酸塩岩は滑石と炭酸塩鉱物に富んでおり、その他石英、緑泥石、カオリナイトが含まれている。この炭酸塩鉱物について、変質蛇紋岩に接する滑石炭酸塩岩ではドロマイトがほとんどでマグネサイトが少量、その他の滑石炭酸塩岩ではマグネサイトがほとんどでドロマイトが少量であった。蛇紋石の有無を考慮しなければ、隣に接する変質蛇紋岩とかなり似た鉱物組み合わせである。緑泥石片岩はほとんど緑泥石でできており、片状の構造を持っている。緑泥石片岩と片状リスウェナイトの境界部では、境界部分に厚さ1 mmほどのマグネサイトを主とする炭酸塩の脈があり、脈の周辺では緑泥石片岩中にも細粒な炭酸塩鉱物と石英が多く含まれる。
滑石からなる蛇紋石の仮晶組織やクロム鉄鉱の残晶が確認されたことから、蛇紋岩がCO2を含む流体と反応することによって、滑石炭酸塩岩とリスウェナイトが形成されたと考えられる。また、泥質片岩との境界近くには、アクチノ閃石や緑泥石が多く含まれる反応帯が形成されていると考えられ、元素の移動を伴う複雑な反応が記録されていることが明らかになった。
リスウェナイトは、超苦鉄質岩とCO2を含む流体との交代反応によって形成される、マグネシウム炭酸塩と石英からなる岩石である(Halls and Zhao, 1995; Hansen et al., 2005; Menzel, 2024)。日本では、長崎県雪ノ浦(Mori et al., 2007)、四国の中央構造線沿い(皆川ほか, 2008; 高垣・白勢, 2025)、静岡県出馬(Suzuki et al., 1977)、および新潟県の糸魚川地域(榎田・白勢, 2025)でリスウェナイトが見つかっている。また、愛媛県四国中央市浦山川からは、泥質片岩由来で片状の組織を持つリスウェナイトと蛇紋岩由来で塊状の組織を持つ2種類の産状、組織、鉱物組み合わせの異なるリスウェナイトが報告されている(Takagaki and Shirose, 2025)。今回、愛媛県西条市の雨乞西谷川においてもリスウェナイトの産出を確認した。本研究では、このリスウェナイトの産状や鉱物学的な特徴を記載し、その形成過程を明らかにすることを目的とする。
【産状・試料】
愛媛県西条市に位置する雨乞西谷川は中央構造線近くに位置しており、三波川帯のざくろ石帯から曹長石黒雲母帯に対応する泥質片岩が分布している。雨乞西谷川中流に幅10 m程度のリスウェナイト-滑石炭酸塩岩-変質蛇紋岩からなるレンズ状の岩体が河床部に20 m程度にわたって露出している。下流側の泥質片岩接触部ではアクチノ閃石片岩、滑石炭酸塩岩が分布し、岩体内部には変質蛇紋岩を伴う。岩体の大部分である中央部は塊状リスウェナイトからなる。上流側の泥質片岩接触部付近では緑泥石片岩を伴う片状リスウェナイトが分布し、接触部は剪断帯となっており、中に2~3 cm程度の塊状リスウェナイトを含む変質した泥質片岩からなる。塊状リスウェナイトは大部分が灰色で緻密、部分的に緑色である。片状リスウェナイトは淡緑色で脆く片状の組織を持ち、一部片理に沿って白い脈が見られる。また、5 mm程度の粗粒な斑晶状のドロマイトを特徴的に含む。滑石炭酸塩岩は大部分が灰色で、硫化鉱物を含み、塊状~片状である。変質蛇紋岩は暗緑色でやや灰色がかっており、片状である。
【実験手法】
組織観察および化学分析にはJEOL製SEM JSM-6510LV、鉱物の同定にはRIGAKU製XRD UltimaⅣを用いた。
【結果・考察】
リスウェナイトは片状タイプ、塊状タイプともにマグネサイトやドロマイトなどの炭酸塩鉱物、石英を主とし、微量の針ニッケル鉱、黄鉄鉱、クロム鉄鉱、含クロムモンモリロナイトが含まれる。その他、片状タイプについては方解石、含クロムカオリナイト、チタン酸化物、ビオラル鉱、ジーゲン鉱が、塊状タイプについては滑石、クリノクロア、磁硫鉄鉱、ペントランド鉱、ゲルスドルフ鉱が含まれている。リスウェナイトに含まれるクロム鉄鉱は、塊状タイプでは50 μm~数mm程度のクロム鉄鉱の残晶を含むが、片状タイプでは1~2 μm以下の粒状の集合である。また、リスウェナイト中に含まれる炭酸塩鉱物は粗粒なもの(0.1~6 mm)と細粒なもの(0.01 mm以下)が混在しており、粗粒なものについて、片状タイプでは双晶が発達したドロマイトが、塊状タイプでは板状で劈開が顕著なマグネサイトが多く見られた。
アクチノ閃石片岩は片理が発達しており、緑泥石やアクチノ閃石、石英を多く含む。変質蛇紋岩はアンチゴライト、滑石、マグネサイト、微量の緑泥石が含まれており、蛇紋石の一部を滑石が置き換えた組織も見られた。滑石炭酸塩岩は滑石と炭酸塩鉱物に富んでおり、その他石英、緑泥石、カオリナイトが含まれている。この炭酸塩鉱物について、変質蛇紋岩に接する滑石炭酸塩岩ではドロマイトがほとんどでマグネサイトが少量、その他の滑石炭酸塩岩ではマグネサイトがほとんどでドロマイトが少量であった。蛇紋石の有無を考慮しなければ、隣に接する変質蛇紋岩とかなり似た鉱物組み合わせである。緑泥石片岩はほとんど緑泥石でできており、片状の構造を持っている。緑泥石片岩と片状リスウェナイトの境界部では、境界部分に厚さ1 mmほどのマグネサイトを主とする炭酸塩の脈があり、脈の周辺では緑泥石片岩中にも細粒な炭酸塩鉱物と石英が多く含まれる。
滑石からなる蛇紋石の仮晶組織やクロム鉄鉱の残晶が確認されたことから、蛇紋岩がCO2を含む流体と反応することによって、滑石炭酸塩岩とリスウェナイトが形成されたと考えられる。また、泥質片岩との境界近くには、アクチノ閃石や緑泥石が多く含まれる反応帯が形成されていると考えられ、元素の移動を伴う複雑な反応が記録されていることが明らかになった。
