講演情報

[P3-72-A]都市空間デザインが場所評価とウェルビーイングに与える影響

*三國 珠杏1、コッター キャサリン2 (1. ウィーン大学、2. ペンシルバニア大学)

キーワード:

都市空間デザイン、ウェルビーイング、フィールド実験

本研究では,オーストリア・ウィーン市内の公共都市空間におけてフィールド実験を実施し,都市空間デザインとの接触が主観的ウェルビーイング指標に及ぼす影響を検証した.さらに,近年のウェルビーイング研究においては,「何と接触するか」に加え,「そのように接触するか」が重要な役割を果たす可能性が指摘されている.この知見に基づき,本研究では,都市空間との接触様式を実験的に操作した.実験条件は4水準からなる被験者間デザインとして設定され,自由観察(環境との接触様式に制限を設けない条件),視覚焦点型観察(環境の感覚的・視覚的情報に注意を向ける条件),認知的内省型観察(環境の特徴を個人の記憶やアイデンティティと関連づけて捉える条件),そして感情焦点型観察(環境から喚起される感情的反応や快・不快に注目する条件)を含んだ.合計124名の実験参加者は,いずれかの条件に無作為に割り当てられ,各条件に応じた教示のもとで環境と接触した.参加者は,都市広場における10分間の滞在の直前と直後に,ストレス,不安,気分状態といってウェルビーイング指標が測定された.さらに,接触直後には空間の回復性(restorativeness)に関する評価に加え,注目した環境要素やポジティブな影響を受けた要素について自由記述で回答を求めた.実験の結果,いずれの条件においても都市空間との接触後にウェルビーイング指標の有意な改善が認められた.さらに,ストレスおよび不安の低減に関しては,感情焦点型観察条件において他条件よりも顕著な改善が示された.さらに,どの環境要素がポジティブな影響に寄与したかについては,参加者の52%が建築物を,42%が自然・植物を,そして30%が空間構造(アクセスのしやすさや解放感)を挙げた.以上の結果は,都市空間との接触が人々のウェルビーイングを改善しうることを示す実験的知見を提供するものである.