講演情報
[AAS08-P12]都市大気における地表近傍ブラックカーボンの湿性除去の定量的評価
*神谷 義一1、入江 仁士1、森野 悠3、Pradeep Khatri2 (1.千葉大学環境リモートセンシング研究センター、2.創価大学、3.国立環境研究所)
キーワード:
ブラックカーボン、湿性除去、都市大気、地表近傍
本研究では、重要な短寿命気候汚染物質であるブラックカーボン(BC)に着目し、都市大気環境の影響を受ける日本・千葉周辺における地表付近のBCの湿性除去を定量的に評価することを目的とした。2023年から2025年にかけての3年間、千葉大学大気環境モニタリング・スーパーサイトにおいて、高精度ブラックカーボンモニター(BCM Model 3130)を用いたBC質量濃度の連続観測を実施した。同地点では、in-situトレースガス分析計による二酸化炭素(CO2)観測および、国際大気質・SKYリサーチリモートセンシングネットワークに属する多軸差分吸収分光法(A-SKY/MAX-DOAS)による二酸化窒素(NO₂)観測も同時に行われている。個々の降水イベントに着目すると、平均的に降水後のBC質量濃度は降水前よりも低下していた。一方で、CO2およびNO2の同時観測結果から、降水中であっても局地排出源からの移流・拡散(advection and diffusion: AD)の影響により、BC質量濃度が大きく変動することが示された。これらの影響をBC・CO2・NO2の同時観測データを用いて定量的に考慮し、さらに、遠隔地大気を対象とした先行研究で報告されている湿性除去のパラメタリゼーションを用いて、降水後直後のBC質量濃度の推定を試みた。その結果、湿性除去と移流・拡散の両方を考慮した場合に、いずれか一方のみを考慮した場合よりも、降水後のBC質量濃度をより妥当に再現できることが明らかとなった。このことは、これまで主に遠隔地大気を対象として提案されてきた湿性除去パラメタリゼーションが、都市大気環境においても適用可能であることを示唆している。
