講演情報

[AAS15-P04]モンゴル北部・へンティー山脈の夏季降水に対する陸面蒸発散の寄与

*沢田 芙祐子1、藤波 初木2、檜山 哲哉2 (1.名古屋大学環境学研究科、2.名古屋大学宇宙地球環境研究所)

キーワード:

モンゴル北部、夏季降水量、蒸発散量、水蒸気収束量

モンゴルは内陸の半乾燥域に位置しているが、モンゴル北部では夏季降水量が年降水量の約6割を占めるため、水資源として極めて重要である。モンゴル北部の夏季降水は低気圧性擾乱と陸面過程に起因する降水システムによってもたらされると考えられているが、両者の降水量への寄与について定量的に研究した例は無い。そこで本研究は陸面の蒸発散がどの程度夏季降水に寄与しているのかを定量評価することを目的とする。対象領域として、モンゴル北部のなかでも降水量が多い領域の一つであるヘンティー山脈(北緯47-51度、東経106-115度) に着目する。解析の対象期間は2014-2023年の夏季 (6-8月) とし、降水量データのMSWEPと大気再解析データのERA5を使用した。
解析対象期間のうち、2016年の夏季降水量が最小値、2020年が最大値を示した。ヘンティー山脈は午後 (11:00-20:00) に降水量が極大となる特徴がある。夏季降水量に占める午後降水量の割合は、2016年は55%、2020年は64%であり、午後降水量が日降水量の50 %以上を占める日 (午後降水日) の日数は、2016年が57日、2020年が64日であった。両年とも、多雨日(各年の日平均降水量よりも多い日)の翌日以降に午後降水が多い傾向がみられた。これは低気圧性擾乱による降水が地表面を湿潤化し、低気圧通過後の陸面加熱が対流性降水の発生を促進した結果であると考えられた。低気圧が通過した日は水蒸気収束が降水に大きく寄与すると考えられるが、低気圧通過後は陸面からの蒸発散が降水に寄与するものと考えられる。そこで、蒸発散の降水への寄与を定量評価するために、大気水収支解析を行った。その結果、ほとんどの多雨日には水蒸気収束量が、少雨日には蒸発散量が、降水量に大きく寄与していた。また、多雨日の翌日以降、数日から1週間程度は比較的大きな蒸発散量が継続し、午後降水日と一致する傾向にあった。降水量に占める蒸発散量の割合は午後降水日においては2016年で108%、2020年で63%となった。午後降水日に該当しない日では2016年で124%、2020年で102%であった。したがって、2016年のように夏季降水量が少なく、乾燥した年には陸面の寄与が大きいことがわかった。