講演情報
[AAS15-P09]cloud-scaleの予測精度改善にむけたCReSS-Hybrid-LETKFの開発
*清水 慎吾1 (1.国立研究開発法人防災科学技術研究所)
キーワード:
データ同化
積乱雲スケールのデータ同化において、局所アンサンブル変換カルマンフィルター(LETKF)法を採用する研究が主流となってきている。しかしながら、LETKF法では、多数のアンサンブル予測計算を必要とするため計算コストが大きく、独自にアンサンブル予報結果を準備することは研究上の大きな障壁となっていた。近年、気象庁メソアンサンブル(MEPS)が気象業務支援センターや気象研究所の線状降水帯データベースを通じて提供されるようになり、これらを活用したLETKF同化実験が可能となったことで、研究の敷居は大きく低下したといえる。MEPSは21メンバーで構成され、特異ベクトル法に基づく初期摂動作成法を採用している。全球規模場およびメソスケール場において予測誤差の成長が見込まれる摂動が、それぞれ10通り作成されている点が特徴である。本研究では、理化学研究所データ同化研究チームが公開しているLETKFコードを参考に、並列方法および観測演算子を改良し、アンサンブル摂動を予測格子点へ内挿する機能を付加した。これにより、雲解像数値モデルCReSSの領域分割に整合した配列構造でLETKFを実行可能とし、予測計算との結合を容易にした。また、Kotsuki and Bishop (2022, MWR) に基づき、アンサンブル誤差共分散と気候学的誤差共分散をブレンドする手法を導入した。初期検証として疑似ドロップゾンデ観測を同化した結果を報告する。初期性能検証として,疑似ドロップゾンデ観測(風向・風速,気温,湿度)を作成し,LETKF による同化実験を行った。その結果,図1に示すように各種予測変数に対する解析修正値が得られた。九州周辺に梅雨前線が存在する事例として,2024年6月23日18 UTC の気象庁メソアンサンブル(MEPS)を初期値に用い,解像度4 km のアンサンブル予測を実施した。2時間後の20 UTC の予報値からアンサンブル摂動を作成し,これを用いて解像度1 km の CReSS において LETKF 同化を行った。梅雨前線から約100 km 南方の領域ではアンサンブル摂動が小さく,Hybrid 手法による気候学的誤差共分散が有効に機能していることが確認された。
