講演情報
[AAS15-P12]地上全天カメラを用いた近赤外天体速攻による水蒸気量推定手法の開発★招待講演
*杉山 玄己1、高橋 幸弘1、久保田 尚之1 (1.北海道大学大学院理学院 宇宙理学専攻)
キーワード:
水蒸気、近赤外光学観測、地上観測
近年、東アジア地域では発達した積乱雲によって集中豪雨が発生し大きな被害が生じている。これらの被害を減らすためには、豪雨をもたらす積乱雲の発生とその規模をより早く予測する必要がある。積乱雲などメソスケールの現象予測には100 m程度の空間解像度が必要とされている(Bryan et al., 2003)が、これまで行われているライダー観測や衛星からのマイクロ波観測などでは観測装置の時間解像度や空間解像度が不足しており、予測モデルに対して十分な空間・時間解像度の観測ベースの初期値を与えることが困難であった。特に積乱雲においては水蒸気が凝結し雲を生じてから豪雨が発生するまでにおよそ1時間と短く、また豪雨イベントの範囲は数 kmの範囲と局所的であるため、これらを予測するためには従来手法よりも高時間・高空間解像度の観測手法の開発が必要になる。本研究では魚眼レンズとバントパスフィルタを備える全天カメラシステムを地上に設置し、これまでにない数kmの範囲の視線方向の水蒸気量を15分程度の時間解像度で測定することを目指す。この装置は夜間において天体からのスペクトルを取得し、地球大気による吸収の強さを計算する。この計算を視野内の複数の天体について行うことで、半径数 kmの範囲の視線方向の可降水量の同時取得が可能であり、これまでの地上設置型ライダーやマイクロ波放射計では困難であった数100 m程度の空間解像度を持つ水蒸気分布の取得が可能であると考えられる。観測に用いた波長は720 nm周辺の水蒸気吸収バンドと761 nmの酸素の吸収バンド、吸収のない周辺4バンドである。これらの波長は先行して行われた南極での標準星スペクトル観測結果(杉山, 2023)をもとに選定した。本発表では札幌で実施した試験観測の結果とほかの観測による可降水量の比較を行い、今後の改良に向けての議論を行う。
