講演情報
[ACC45-P03]雪結晶の自動撮像装置の開発および2025-2026冬季観測の初期解析
*角谷 啓太1、倉本 颯也1、鈴木 香寿恵1、鈴木 秀彦1 (1.明治大学)
キーワード:
雪結晶
雪結晶の結晶形態は氷晶の成長環境(=高層気象場)を反映する。Bentleyによる雪結晶の写真、中谷宇吉郎による実験室における人工雪作成の成功と中谷ダイアグラム[1]、小林禎作による小林ダイアグラム[2]などの改良を経て、雪結晶の結晶形態図は発展してきた。これらの研究はいずれも、雪結晶の結晶形態から高層気象場を推定できる可能性を示している。
本研究の目的は、雪粒子の結晶形態と粒径を自動かつ定常的に記録する小型ベルトコンベア式撮像装置を開発し、得られたデータを基に雪結晶の結晶形態から高層気象場の推定を行う観測手法を開発することである。
雪粒子の直接観測装置としては、①複数カメラによる雪粒子撮像システム(MASC: Multi-Angle Snowflake Camera)[3]、②関東雪結晶プロジェクト[4]、③ベルトコンベア式降雪粒子連続撮影装置[5, 6]などの先行事例がある。我々の研究グループにおいては降雪中の雪結晶を高感度カメラにより直接空中撮影する観測事例がある[7]。これらの観測手法は、①異なる落下速度の雪粒子が同時に降った場合の撮影困難性、②美しい結晶のみを記録する傾向、③施設型である点や小型・可搬型だが一定時間毎に設定が必要でありデータ回収が観測後に制限される点、などの課題がある。
本研究は、こうした現状の課題を補完する「小型・可搬で安定運用・自動データ解析が可能」なシステムを開発することで、観測地に降るあらゆる雪粒子の結晶形態および粒形分布をバイアス無く網羅的に記録し、機械学習を用いた結晶形態分布解析を通じて、現行とは別の角度から高層気象場の推定を目指すものである。
現行の観測装置は縦48cm×横22cm×高さ20cm(立脚時38cm)の直方体状である。アルミフレームで組んだ構造体を断熱材の外殻で覆っている。内部にはカメラ、LED光源、ベルトコンベア、センサ(庫内温度、湿度、気圧、熱電対温度)、ヒーター、ブラシ、Raspberry Piやslee-Pi等の制御基板、スイッチング電源を配置している(Fig. 1)。捕捉した雪結晶はベルトコンベアにより一定時間間隔で移送して撮影する。撮影後の雪結晶は次期の移送によりブラシで払い落とすことで雪結晶の自動撮影を継続できる仕組みとなっている。撮像データはNASへ逐次アップロードする仕組みを備える。電源とネットワークが確保できれば、現場に滞在し続けずにデータ取得および状況をモニタ可能である。関東などで降雪予報が出た際、機動的な観測が可能である点も特徴である。
観測装置の開発自体は2025年秋の気象学会で報告[8]し、2026年1月以降に実際の観測を数回実施した(1/21 神奈川県足柄上郡及び静岡県駿東郡、1/24-25 福井県坂井市、2/7 神奈川県足柄上郡)。実際に撮像した写真がFig. 2である。雪結晶の地域差や、定常的な撮像による降雪量や卓越した結晶分布の推移(例:針状結晶→樹枝状結晶)等を記録した。本発表では、実観測によって判明した課題、実観測で得られた撮像データの紹介とその初期解析について報告する。解析内容は、各時刻の卓越した結晶分布、雪水当量換算降水強度などを実施する予定である。
[1] Nakaya, U., 1955, Journal of the Faculty of Science, Hokkaido University. Ser.2, Physics,4(6), 341-354.
[2] Kobayashi, T., 1957, 低温科學.物理篇, 16, 1-26.
[3] T. J. Garrett, et al., 2012, Atmos. Meas. Tech., 5, 2625–2633.
[4] 荒木健太郎, 2018, 日本雪氷学会誌 雪氷, 80巻2号, 115-129.
[5] 本吉弘岐, 2017, 防災科研ニュース, No.199.
[6] 島田亙, et al., 2024, 日本雪氷学会.
[7] 倉本颯也, et al., 2024, 気象学会2024年秋季大会.
[8] 角谷啓太, et al., 2025, 気象学会2025年秋季大会.
本研究の目的は、雪粒子の結晶形態と粒径を自動かつ定常的に記録する小型ベルトコンベア式撮像装置を開発し、得られたデータを基に雪結晶の結晶形態から高層気象場の推定を行う観測手法を開発することである。
雪粒子の直接観測装置としては、①複数カメラによる雪粒子撮像システム(MASC: Multi-Angle Snowflake Camera)[3]、②関東雪結晶プロジェクト[4]、③ベルトコンベア式降雪粒子連続撮影装置[5, 6]などの先行事例がある。我々の研究グループにおいては降雪中の雪結晶を高感度カメラにより直接空中撮影する観測事例がある[7]。これらの観測手法は、①異なる落下速度の雪粒子が同時に降った場合の撮影困難性、②美しい結晶のみを記録する傾向、③施設型である点や小型・可搬型だが一定時間毎に設定が必要でありデータ回収が観測後に制限される点、などの課題がある。
本研究は、こうした現状の課題を補完する「小型・可搬で安定運用・自動データ解析が可能」なシステムを開発することで、観測地に降るあらゆる雪粒子の結晶形態および粒形分布をバイアス無く網羅的に記録し、機械学習を用いた結晶形態分布解析を通じて、現行とは別の角度から高層気象場の推定を目指すものである。
現行の観測装置は縦48cm×横22cm×高さ20cm(立脚時38cm)の直方体状である。アルミフレームで組んだ構造体を断熱材の外殻で覆っている。内部にはカメラ、LED光源、ベルトコンベア、センサ(庫内温度、湿度、気圧、熱電対温度)、ヒーター、ブラシ、Raspberry Piやslee-Pi等の制御基板、スイッチング電源を配置している(Fig. 1)。捕捉した雪結晶はベルトコンベアにより一定時間間隔で移送して撮影する。撮影後の雪結晶は次期の移送によりブラシで払い落とすことで雪結晶の自動撮影を継続できる仕組みとなっている。撮像データはNASへ逐次アップロードする仕組みを備える。電源とネットワークが確保できれば、現場に滞在し続けずにデータ取得および状況をモニタ可能である。関東などで降雪予報が出た際、機動的な観測が可能である点も特徴である。
観測装置の開発自体は2025年秋の気象学会で報告[8]し、2026年1月以降に実際の観測を数回実施した(1/21 神奈川県足柄上郡及び静岡県駿東郡、1/24-25 福井県坂井市、2/7 神奈川県足柄上郡)。実際に撮像した写真がFig. 2である。雪結晶の地域差や、定常的な撮像による降雪量や卓越した結晶分布の推移(例:針状結晶→樹枝状結晶)等を記録した。本発表では、実観測によって判明した課題、実観測で得られた撮像データの紹介とその初期解析について報告する。解析内容は、各時刻の卓越した結晶分布、雪水当量換算降水強度などを実施する予定である。
[1] Nakaya, U., 1955, Journal of the Faculty of Science, Hokkaido University. Ser.2, Physics,4(6), 341-354.
[2] Kobayashi, T., 1957, 低温科學.物理篇, 16, 1-26.
[3] T. J. Garrett, et al., 2012, Atmos. Meas. Tech., 5, 2625–2633.
[4] 荒木健太郎, 2018, 日本雪氷学会誌 雪氷, 80巻2号, 115-129.
[5] 本吉弘岐, 2017, 防災科研ニュース, No.199.
[6] 島田亙, et al., 2024, 日本雪氷学会.
[7] 倉本颯也, et al., 2024, 気象学会2024年秋季大会.
[8] 角谷啓太, et al., 2025, 気象学会2025年秋季大会.
