講演情報
[ACC45-P04]アラスカ州グルカナ氷河に発生する赤雪の定点カメラ時系列解析
*澁谷 圭佑1、竹内 望1、大沼 友貴彦1、阿部 稜平1、薄羽 珠ノ介1、鈴木 拓海1、小野 誠仁1、小熊 宏之 (1.千葉大学大学院融合理工学府)
キーワード:
赤雪、定点カメラ時系列解析、グルカナ氷河、アラスカ
雪氷藻類の増殖に起因する赤雪現象は,積雪表面のアルベドを低下させ,融雪を加速させる要因として重要視されている.しかし,衛星画像や航空写真を用いた既存の広域観測は,雲による遮蔽や時間分解能の制約を受けやすく,短期間で急激に変動する藻類の増殖プロセスを連続的に追跡することは困難であった.そこで本研究では,アラスカ・グルカナ氷河の上流部を対象に,2023年7月3日から8月28日にかけて定点カメラで撮影された1時間間隔の連続写真を用いて,赤雪現象の時空間変動を定量化することを目的とした.解析には,日射や気象条件が比較的安定した9時から14時台の快晴条件下で撮影された全185枚の画像を利用した.画像内の氷河の雪面上に11の領域(ROI)を設定し,それぞれの領域の赤雪の生物量指標としてRedとGreenの画素値の比(R/G比)を求めた.画像解析の結果,氷河上の積雪表面に7月中旬から一部で赤雪が出現し,8月にかけて徐々に広がる様子が目視で確認できた.各ROIのR/G比は,撮影時間や気象条件によって大きく変動したが,快晴条件に限ることで安定した値を得られることがわかった.赤雪のR/G比の閾値を設定し,各ROIでR/G比が閾値を上回る赤雪出現日を求めた結果,最も早く出現したのは北側斜面で(7月9日),次に氷河主流の平坦部(7月21日),さらに氷河東側の上流部(7月23-24日)に続くことがわかった.山頂部に近い高標高の雪面では,R/G比が閾値を上回ることはなく,赤雪は発生しなかった.赤雪の出現の時系列は,必ずしも標高では説明がつかず,雪面の傾斜や方角とそれに伴う融解水の流れが関与していると考えられた.以上の結果から,氷河上の赤雪は,必ずしも下流部から上流部という標高順に発生するわけではなく,氷河表面の局所的な地形条件によって決まっていることが示唆された.
