講演情報

[AOS25-P05]験潮所観測データと海洋再解析データに基づく平均海面高度の比較

*南部 正裕1、林王 弘道1、瀬尾 徳常1、土屋 主税1、入江 芳矢1 (1.海上保安庁海洋情報部)

キーワード:

力学的海面高度、験潮所、平均水面、ジオイドモデル、水路測量基準面

水路測量基準面を整備するため、ジオイドを基準とした平均水面の高さ(以下「平均海面高度」という。)を把握することが必要である。日本沿岸の平均海面高度は、海域によって最大1m程度異なり、水路測量では無視できない大きさの勾配をもつ。
平均海面高度の観測値は、験潮所の潮位を、各種測量結果を用いてジオイド基準に換算することで得られる。しかし、験潮所の分布間隔は一定ではなく、また沖合には存在しないことから、験潮所の観測値だけで平均海面高度の勾配を補間することは難しい。
近年、気象庁気象研究所によって日本沿岸海洋再解析データセット「MOVE/MRI.COM-JPN Dataset」(以下「MOVE再解析」という。)が作成された。このデータセットでは、衛星海面高度計等を同化した水平解像度約2kmの高解像度モデルにより、地衡流の接岸などが精度よく再現された。このことからMOVE再解析は、地衡流に影響される沿岸域の平均水面の勾配をよく再現していることが期待され、平均海面高度の分布の推定に活用できる可能性がある。
本研究では、平均海面高度の分布の推定におけるMOVE再解析の利用可能性を調べるため、験潮所で観測した平均海面高度と、MOVE再解析による平均海面高度を比較した。またその結果を用いて、験潮所の観測値とMOVE再解析を合わせるための補正量を求めた。なお、平均水面の平均期間は5か年とした。
また、験潮所における平均海面高度の観測値は次のように算出した。験潮所にてGNSS観測が行われている場合には、まず地球楕円体基準で平均水面を求め、「ジオイド2024日本とその周辺」を用いて、ジオイド基準の平均海面高度に変換した。験潮所にて国土地理院の水準点までの水準測量がなされている場合には、その比高と水準点の標高を用いて平均海面高度を求めた。両方の手法で測定がなされている験潮所では、水準測量やGNSSの誤差を考慮して平均海面高度の最尤推定値を算出した。なお、験潮所の潮位はすべて、近傍電子基準点のF5解で地盤変動を補正した。