講演情報
[AOS25-P08]道東東北沖における窒素態栄養塩の季節変化
*大塚 響1、安中 さやか1、増田 貴子2、長谷川 大介2、黒田 寛3、中野渡 拓也2、谷内 由貴子2、山口 珠葉2 (1.東北大学、2.水産研究・教育機構、3.北海道大学)
キーワード:
生物地球化学、窒素循環、亜表層、硝化
無機態窒素栄養塩は、植物プランクトンの成長にとって必須な要素である。植物プランクトンは、光合成過程において無機態窒素栄養塩(硝酸塩(NO3-)や亜硝酸塩(NO2-)、アンモニウム塩(NH4+))を細胞内に取り込み、有機物を生成する。NO3-は、表層で光合成による取り込みによって減少し、生物ポンプによって沈降した有機窒素が再無機化されることから、深層では豊富に存在する。一方、NO2-とNH4+は、NO3-同様表層で低濃度である一方、亜表層で極大を示し、その後深度が増すにつれて急速に濃度が低下する。NO3-の季節変化を調べた知見は多いが、NO2-の海洋内部の季節変化を調べた例は少なく、NH4+はデータ自体が不足している。海洋内部におけるこれらの窒素態栄養塩の動態を把握することは、海洋の生物学的生産性、特に基礎生産プロセスを理解する上で極めて重要である。本研究では、水産研究・教育機構のA(厚岸沖)ラインの船舶観測データを使用し、道東東北沖における窒素態栄養塩の季節変化を調べた。
海流位置によらない解析をするため、日下(2016)を参考に塩分33.0及び33.7を境界値として、沿岸親潮水、親潮水、暖流水に分類した。沿岸親潮水及び親潮水では、海面において、春と秋にクロロフィル(Chl)が増加するブルームが見られ、NO3-は夏に減少していた。亜表層のNH4+はブルーム後に増加し、秋は低濃度であった。暖流水においては、ブルームは春に限られ、ChlとNO3-の濃度は相対的に低く、NH4+には明確な季節変化は見られなかった。NO2-は、冬はどの深度も濃度差がなかったのに対し、夏は、特に暖流水や親潮水において、亜表層での高濃度と海面・深層での低濃度という濃度コントラストが確認された。これらの要因として、ブルーム後の海面NO3-の枯渇や亜表層NH4+の増加は、植物プランクトンによる取り込みおよび光合成によって生成された有機物の分解によるものと考えられる。NO2-はNH4+が酸化されることで生成される(硝化)が、硝化は光阻害を受けるため、海面では生成が抑制され、光の弱い亜表層ではNH4+からNO2-への硝化が進み、深層ではNO3-への硝化によって低濃度となる。冬季は、鉛直混合に伴いNO2-の深度による濃度差は不明瞭である一方、夏は、成層が強化したことにより亜表層での高濃度が顕在化したと推察する。
AラインにおけるNH4+観測は、他項目に比べて少ない上、季節的にも限定されていた。そこで本研究では、データの連続性と同一性を確保するため、2024年5月から2025年3月に実施された5回のAライン調査航海において冷凍保存した採水サンプルを持ち帰り、NH4+の濃度測定を実施した。発表時には、これらの分析結果も合わせて報告する。
海流位置によらない解析をするため、日下(2016)を参考に塩分33.0及び33.7を境界値として、沿岸親潮水、親潮水、暖流水に分類した。沿岸親潮水及び親潮水では、海面において、春と秋にクロロフィル(Chl)が増加するブルームが見られ、NO3-は夏に減少していた。亜表層のNH4+はブルーム後に増加し、秋は低濃度であった。暖流水においては、ブルームは春に限られ、ChlとNO3-の濃度は相対的に低く、NH4+には明確な季節変化は見られなかった。NO2-は、冬はどの深度も濃度差がなかったのに対し、夏は、特に暖流水や親潮水において、亜表層での高濃度と海面・深層での低濃度という濃度コントラストが確認された。これらの要因として、ブルーム後の海面NO3-の枯渇や亜表層NH4+の増加は、植物プランクトンによる取り込みおよび光合成によって生成された有機物の分解によるものと考えられる。NO2-はNH4+が酸化されることで生成される(硝化)が、硝化は光阻害を受けるため、海面では生成が抑制され、光の弱い亜表層ではNH4+からNO2-への硝化が進み、深層ではNO3-への硝化によって低濃度となる。冬季は、鉛直混合に伴いNO2-の深度による濃度差は不明瞭である一方、夏は、成層が強化したことにより亜表層での高濃度が顕在化したと推察する。
AラインにおけるNH4+観測は、他項目に比べて少ない上、季節的にも限定されていた。そこで本研究では、データの連続性と同一性を確保するため、2024年5月から2025年3月に実施された5回のAライン調査航海において冷凍保存した採水サンプルを持ち帰り、NH4+の濃度測定を実施した。発表時には、これらの分析結果も合わせて報告する。
