講演情報
[AOS25-P11]海洋アルカリ度増進技術の開発へ向けたアルカリ物質溶解実験
*堀 麟太郎1、釘本 順生1、大野 良和1、鈴木 淳2、井上 麻夕里1 (1.岡山大学大学院環境生命自然科学研究科、2.産業技術総合研究所)
キーワード:
海洋アルカリ度増進、海洋炭酸系、海洋二酸化炭素除去、炭酸カルシウム析出、暴走析出、全アルカリ度
カーボンニュートラルに向けた海洋による二酸化炭素除去手段の一つとして注目されている、海洋アルカリ度増進(Ocean Alkalinity Enhancement : OAE)は全アルカリ度(TA)を高めて大気中CO2の海洋吸収を促進する技術であるが、過剰添加に伴うCaCO3暴走析出による効率低下リスクが課題である。本研究では、OAE実装に向けた最適なアルカリ物質および添加量の探索を主目的とし、発生した析出物の結晶同定も行った。実験にはNa2CO3、NaHCO3、両者の混合物、Mg(OH)2の4種を用い、TA添加量を+0, +500, +1000, +1500, +2000 µmol/kgの5段階に設定した。殺菌濾過を施した小笠原海水を用いた閉鎖系(25℃)にて各物質を添加し、pHおよびpCO2を18時間連続測定した。また実験終了後にTA・溶存無機炭素量(DIC)等を測定し、各条件下での短期的な炭酸系挙動と析出リスクを評価した。連続測定の結果からは、Na2CO3とMg(OH)2は有効なpCO2低下を示したが、高TA添加量ではCaCO3の析出が起きたことを示すデータの変化が認められた。この時の条件を模して別途析出実験を行いXRD測定を行ったところ、アラゴナイトが析出していたことが分かった。このため、暴走析出回避の観点から推奨されるTA添加量は、Mg(OH)2で+500、Na2CO3で+500 µmol/kg程度と見積もられた。連続測定終了後のTA・DIC測定結果も踏まえると、Mg(OH)2が今回検討した中で最も有望な候補物質と判断し、今回の実験ではその適切なTA添加量は+500 µmol/kgであることが示された。
