講演情報

[AOS26-P03]サンゴ礁河口域の海草の栄養状態ならびに生育状態の季節変動

*梅林 奎輔1、近藤 航樹1、Lyu Han1、杉原 創1、渡辺 謙太2、大澤 和敏3、梅澤 有1 (1.東京農工大学、2.港湾空港技術研究所、3.宇都宮大学)

キーワード:

海草、陸由来元素、赤土、サンゴ礁

沖縄県を含む世界の熱帯から亜熱帯の島嶼地域では、沿岸域への赤土流出によるサンゴ礁生態系への悪影響が問題となっている。赤土は、極度に風化したシルト区分以下の粒子が多い土壌であり、水中で懸濁・堆積することでサンゴや海草の生育を阻害する。このような状況を改善するため、1995年に「沖縄県赤土等流出防止条例」が施行され、赤土の流出量は減少傾向にある。
一方で、赤土には、鉄(Fe)やマンガン(Mn)、ケイ素(Si)等の植物の生育に有用な元素が含まれている。サンゴ礁の底質はサンゴや有孔虫等の遺骸由来の炭酸カルシウム鉱物で構成され、海草の生育がFe律速を受ける場合がある。赤土の流出量が減少してきた現在においては、赤土由来の元素が海草の栄養律速を緩和する潜在的な供給源として機能している可能性がある。
本研究では、石垣島周辺海域に生育する海草および堆積物を採取し、海草の栄養状態(特にFeやMn等の微量必須元素に注目)ならびに健康状態(葉幅や葉長、葉の枚数、光合成色素等)を夏季・冬季の二季節での評価を試みた。また、一部海域・時期では生産量測定や炭素・窒素安定同位体比測定も行った。
海草の形態は、夏季および冬季で大きな差は見られなかったが、炭素安定同位体比はいずれの地点においても夏季に最も高い値を示した。金属元素濃度は、河口に近い地点ほど高くなり、赤土由来の元素を海草が利用している様子が伺えた。当日は、海草体内の各種金属元素の季節変動も交えながら発表を行う。