講演情報
[AOS26-P05]土地利用条件の異なる3河川における溶存態有機物・栄養塩特性の比較
*伊藤 明季1、杉本 亮1、中田 聡史2 (1.福井県立大学海洋生物資源学部、2.国立環境研究所)
キーワード:
溶存態有機物、栄養塩
河川水を介して陸域から沿岸海域へ輸送される様々な溶存物質は、沿岸海域の物質循環や生態系構造に大きな影響を及ぼす。流域特性と河川水質の関係性を明らかにすることは、流域から沿岸海域に至る物質循環の理解のみならず、適切な環境管理を行う上でも重要な課題である。本研究では、伊勢湾に流入する流域特徴の異なる3つの一級河川(庄内川・鈴鹿川・宮川)を対象とし、上流から下流に至る溶存態有機物(DOM)および栄養塩類の濃度変化ならびに質的特性の変化を明らかにすることを目的とした。2025年の2月、5月、7月、11月の計4回、すべての河川において上流から下流まで複数地点の河川水と、下水処理水の採水を行った。その結果、溶存態有機炭素(DOC)濃度とPO43-濃度は、庄内川が他の2河川と比較して顕著に高い値を示した。NO3-+NO2-濃度は、中流以降で鈴鹿川の濃度上昇が庄内川を上回っていた。そこで、流域特性と水質データの関係性について主成分分析を行ったところ、3つの河川の水質特性は上流域では類似してるものの、流下に伴って各河川の流域特性の違いを反映して明確に分離されることが示された。以上の結果は、河川水質が流域における人間活動の強度と形態に強く規定されることを示しており、流域管理および沿岸域への物質供給評価に重要な知見を与える。発表時には、DOMの3次元蛍光特性による質的特性の結果も踏まえながら紹介する。
