講演情報
[AOS26-P11]海底湧水が向上させる干出時における底生微細藻類の基礎生産過程の解明
*尾崎 竜也1、本田 陸斗1、林 莉沙1、杉本 亮2、大谷 壮介3、小森田 智大1 (1.熊本県立大学、2.福井県立大学、3.武庫川女子大学)
キーワード:
海底湧水、干潟、底生微細藻類、基礎生産量、有明海、栄養塩
干潟は植生がなく,潮汐により堆積物表面に日射が直接照射されることから,底生微細藻類が繁茂する(山口, 2011).干出時には堆積物表面の光条件が好適である一方で(Chevalier et al., 2010),間隙水中の栄養塩濃度の低下により底生微細藻類の基礎生産が制限されるという報告もある(一見ら, 2008; 一見ら,2013).近年,沿岸海域では海底湧水(SGD)が主要な栄養塩の供給経路として注目されている(Wilson et al., 2024).SGDから供給される栄養塩が植物プランクトンの基礎生産に強く影響することは報告されているが(Nakajima et al., 2024),干潟の底生微細藻類とSGDの関係を対象とした研究は少ない.しかし,SGDは干出時の干潟に栄養塩を供給するため,密接に干潟の基礎生産と関係していると考えられる.
本調査海域である緑川河口干潟は有明海に面しており,熊本平野の影響により地下水資源が豊富に存在する(御薗生ら, 2012).昨年度,SGDが確認された領域における干出時の基礎生産量とSGDの影響が少ない領域の基礎生産量を比較することで,SGDが干潟の基礎生産を促進することを明らかにした(尾崎ら,2025:本学会発表).さらに,干出時にSGDから栄養塩が供給されることで基礎生産が促進することが示唆された.
SGDが豊富な領域では干出時の栄養塩の供給源として,潮汐に伴う水頭差による水平移流,SGDによる水平移流,濃度勾配に基づく鉛直拡散による3つ供給経路がある.水平移流による栄養塩フラックスを求めることは困難であるが,基礎生産による栄養塩の取込量と鉛直拡散による栄養塩フラックスを実測し,鉛直拡散による栄養塩フラックスが無視できるほど小さいとするならば,基礎生産による栄養塩の取込量から水平移流による栄養塩フラックスを近似的に求めることができ,SGDによる栄養塩の供給の重要性を評価できると考えた.
そこで本研究では,SGDが干出時の底生微細藻類の基礎生産を促進する過程を解明することを目的とした.そして,SGDが確認された領域の沖側と岸側の2地点を対象に,干出時の基礎生産量をチャンバー法で定量し,鉛直拡散による栄養塩フラックスを測定して,基礎生産量から算出した栄養塩の取込量と鉛直拡散による栄養塩フラックスを比較した.
干出時の基礎生産量は沖側で2.1 mgC m–2 min–1,岸側で0.30 mgC m–2 min–1であり,基礎生産量から算出したNH4–Nの取込量は,沖側で26 µmol m–2 min–1,岸側で3.8 µmol m–2 min–1であった.対して,鉛直拡散によるNH4–Nフラックスは沖側で0.014 µmol m–2 min–1,岸側で0.032 µmol m–2 min–1であった.基礎生産による栄養塩の取込量に占める鉛直拡散フラックスの割合は,沖側で0.054 %,岸側で0.83 %であり,無視できるほど小さかった.これより,SGDを含む水平移流による栄養塩の供給が干出時の基礎生産を促進することが示唆された.
本調査海域である緑川河口干潟は有明海に面しており,熊本平野の影響により地下水資源が豊富に存在する(御薗生ら, 2012).昨年度,SGDが確認された領域における干出時の基礎生産量とSGDの影響が少ない領域の基礎生産量を比較することで,SGDが干潟の基礎生産を促進することを明らかにした(尾崎ら,2025:本学会発表).さらに,干出時にSGDから栄養塩が供給されることで基礎生産が促進することが示唆された.
SGDが豊富な領域では干出時の栄養塩の供給源として,潮汐に伴う水頭差による水平移流,SGDによる水平移流,濃度勾配に基づく鉛直拡散による3つ供給経路がある.水平移流による栄養塩フラックスを求めることは困難であるが,基礎生産による栄養塩の取込量と鉛直拡散による栄養塩フラックスを実測し,鉛直拡散による栄養塩フラックスが無視できるほど小さいとするならば,基礎生産による栄養塩の取込量から水平移流による栄養塩フラックスを近似的に求めることができ,SGDによる栄養塩の供給の重要性を評価できると考えた.
そこで本研究では,SGDが干出時の底生微細藻類の基礎生産を促進する過程を解明することを目的とした.そして,SGDが確認された領域の沖側と岸側の2地点を対象に,干出時の基礎生産量をチャンバー法で定量し,鉛直拡散による栄養塩フラックスを測定して,基礎生産量から算出した栄養塩の取込量と鉛直拡散による栄養塩フラックスを比較した.
干出時の基礎生産量は沖側で2.1 mgC m–2 min–1,岸側で0.30 mgC m–2 min–1であり,基礎生産量から算出したNH4–Nの取込量は,沖側で26 µmol m–2 min–1,岸側で3.8 µmol m–2 min–1であった.対して,鉛直拡散によるNH4–Nフラックスは沖側で0.014 µmol m–2 min–1,岸側で0.032 µmol m–2 min–1であった.基礎生産による栄養塩の取込量に占める鉛直拡散フラックスの割合は,沖側で0.054 %,岸側で0.83 %であり,無視できるほど小さかった.これより,SGDを含む水平移流による栄養塩の供給が干出時の基礎生産を促進することが示唆された.
