講演情報

[AOS26-P13]ラジウム同位体を用いた利根川河口沖における地下水流出の時間変動と要因の評価

*中島 壽視1、増永 英治2、高橋 杏1、村上 喬史1、乙坂 重嘉1、古市 尚基3、杉本 亮4、梅澤 有5、伊藤 幸彦1 (1.東京大学大気海洋研究所、2.茨城大学、3.水産研究・教育機構 水産技術研究所、4.福井県立大学、5.東京農工大学)

キーワード:

地下水、間隙水、放射性同位体、開放性海域

地下水(淡水成分および塩水成分)は沿岸域への主要な水や物質供給経路であることが明らかになりつつある。地下水流出は様々な強制力によって駆動するが、季節を跨ぐ長期的な流出変動に関与する環境要因の理解は未だ不十分である。本研究では、開放的な海域である利根川河口周辺海域において、地下水トレーサーであるラジウム(Ra)同位体の時間変動を追跡し、その要因を評価した。
調査期間を通じて海域の短寿命Ra(223Ra,224Ra)濃度は河川水よりも高く、陸海境界からの地下水供給が示唆された。時間変化としては明瞭ではないものの早春と秋に高濃度、冬季と夏季に低濃度となる傾向が認められた。表層海水の短寿命Ra濃度と複数の環境要因を用いた相関解析の結果、潮位差や陸域地下水位との間には有意な関係は認められなかった。一方で、表層海水の短寿命Ra濃度は有義波高および岸向きの風速と有意な正の相関を示した。開放的な利根川河口周辺の海域では、風によって発達する波が海岸付近の堆積物内における海水循環を促進し、地下水流出を駆動する主要な外的要因として機能していることが示唆された。